2.人類の共通性

セルフ・コンパッションの構成要素の2つ目は「人類の共通性」を意識することです。そうすることで孤独感が和らぎます。

孤独感は死亡率を上げたり、心臓などの循環器疾患リスクを高めたり、高血圧や糖尿病などにも影響を及ぼすなど、心にも体にも関係するということがわかっています。孤独感が和らげば、先ほどのリスクも避けられます。

「人類の共通性」という点に関して言えば、現代人はとかく、年齢・性別・学歴・職業・容姿や能力といった「違い」に捉われがちです。そして、それが他人への優越感や劣等感を生んでしまうことがあるのです。しかし、これらは表面的なもの。もっと深く内面まで目を向けていくと、それぞれの人がストレスを感じていたり、コンプレックスや悩みを抱えていたりと、共通性を持っているのです。

その共通性を感じることができれば、私たちは安心して穏やかな気持ちになることができます。みなさんも新入社員の頃、同期で「不安だね」と言いあったり、就職の面接試験を受けたときに、受験者同士で「緊張したね」とフィードバックしあったりすることで、他の人が自分と同じように感じていることを知り、安心した経験があるのではないでしょうか。

こうしたときに、私たちは「人類の共通性」を意識していると言えます。他人のなかに自分と共通する部分をみつける。他人がコンプレックスで悩んでいるんだと知る。そうすることで、自分のなかの劣等感を乗り越えることができるのです。

ビジネスシーンにおいても、ダイバーシティ(多様性)が求められる現代だからこそ「人類の共通性」は求められています。

Googleで人材育成や組織開発をおこなっていたピョートル・フェリクス・グジバチは「メンタル面でタフなチームをつくるために、みんな一緒と感じられることが大切だ。すべての人はひとつである。一緒であるということを経験する、大きな意識を経験できるということ、それで信頼や人間関係を深めて孤独感がなくなる」と述べています。