3.自分への思いやり
セルフ・コンパッションの3つ目の要素は「自分への思いやり」です。みなさんは普段どうやってモチベーションを上げていますか。
仮に、みなさんが資格取得に向けて準備をしているとします。その資格を取ることは子どもの頃からの夢であり、資格があったほうが仕事でも有利になると考え、何カ月かの時間をかけて準備をしている状況です。来週がいよいよ試験本番!
さて、みなさんはこの状況で自分自身に対して、どのような言葉をかけるでしょうか。おそらく次の2つのタイプに分かれるはずです。
- 自分自身に対して厳しい言葉をかける
- 自分自身に対してやさしい思いやりのある言葉をかける
では、もし、あなたの大切な人が同じ状況で頑張っていたら、なんと声をかけるでしょうか。
このときの大切な人とは、家族でも友人でも恋人でもかまいませんが、先ほどとはかける言葉が異なる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
この「大切な人に声をかける」イメージで、自分自身を常にあたたかく励まし、理解してあげましょう。それが「自分を思いやる」ということです。
「自分への思いやり」は子どもの頃の経験も大きな影響を与えています。幼い子供は、ストレス時に不快な感情を感じたとき、周囲の大人たちから思いやりのある言葉をかけられ、気分を和らげるという経験を重ねていきます。
それを繰り返すうちに、思いやりのある言葉や態度を取り入れ、自分自身のものとして内在化していきます。そうすることで、ストレスを抱えたときにも、同じように自分で自分にその言葉をかけたり、思いやったり、自分で自分の気分を改善し、癒すことができるようになるのです。
ただ、そんな環境で育った人ばかりではありません。もしかしたら、周囲から思いやりのある言葉をかけられなかったかもしれないですし、他人から思いやりをかけられていたけれど、気づけなかった、うまく受け取れていなかった人もいるかもしれません。
そんな方たちも諦めなくて大丈夫です。安心してください。“自分への思いやり”=セルフ・コンパッションは、いつでも育て直すことができるのですから。