クラブ、居酒屋…お祭り騒ぎの若者たち

感染は確実に広がりつつあるが、街の人々が危機感を高めているようには、あまり感じない。

ソウルで特に緊張感が高かったのは2月下旬から3月にかけて、そして梨泰院クラブ感染のあった5月前半で、当店でも売り上げは落ち込んだ。だが、その後は日を追うごとに平常運転に戻り、人の往来も活発になってきている。

街ではほとんどの人がマスクをしているが(5月末から、地下鉄やバスなど公共交通機関を利用する際のマスク着用が義務付けられた)、最近はマスクをしていない人も時々見かけるようになった。

6月最後の週末、若者が集まる弘大(ホンデ)エリアの中心部を歩いてみたところ、深夜にも関わらず大変なにぎわいだった。弘大ならではの状況とはいえ、若者たちは自由すぎやしないかと驚かされた。

営業しないクラブもまだ多いが、人数制限やQRコードの提示など政府の指針を守り営業を始めたクラブの前には、若者や西洋人が集っていた。

また弘大では、男女の出会いの場となる居酒屋が感染場所となり注目を受けたが、それらの店も行列をなすほどの人気だ。感染者が現れたことで有名な居酒屋にも人が集まっているのを見た時は、わが目を疑った。

大学前の公園には若者たちがたむろし、その一角ではダンスパフォーマンスも行われ、ちょっとしたお祭り騒ぎとなっていた。

政府に信頼感。ただし支援金制度には外国人差別

増加する感染者数と国民の緊張感が比例しない背景には、経済活動にテコ入れしたい行政側の意向が反映されていると言える。

5月中旬には政府から、全ての世帯ごとに40~100万ウォン相当(約4~10万円)の「緊急災難支援金」が支給された。8月末までと使用期限のある電子マネーや商品券で支払われたため、国民の消費が増える結果に。

また6月には政府から映画割引券が配布され、閑古鳥が鳴いていた映画館に久しぶりに観客が戻った。

感染者数が増える中でも国民が消費活動を行えるのは、これまで都市封鎖も移動制限も行わずコロナを抑えてきた、政府に対する信頼感があるからのことだろう。

在住外国人としては、支援金制度に関して外国人差別が見られること(緊急災難支援金は、在住外国人では永住資格保有者及び家族内に韓国人がいる場合のみ対象となり、韓国人と結婚していない多くの外国人労働者は対象外となった)、外国人ばかり再入国の条件が複雑になってしまったことなど、残念な面も感じているが、ひとまず現段階において、健康面では大きな不安を感じず生活できている。

韓国の状況が今後どうなるか、蓋を開けてみないと分からないが、コロナ禍が一日も早く落ち着き、日韓の人々が自由に行き来できる日が戻ることを願っている。