ボリス・ジョンソン首相、マット・ハンコック保健相と、国家の要が相次いでコロナウイルス感染症の陽性反応を示したイギリスでは、混沌とした状況が続いている。「ロックダウン」(首都封鎖)が起こったかの国のリアルとは――。在英日本人OLのレポートをお届けする。

「ロックダウン」で意識が確実に変わった

夢なのか、現実なのか——。早くもロックダウンから1週間経とうとしているイギリスで、まるでSF映画の中にいるような不思議な感覚の中で生きている。

今から1週間前の3月23日(月)の夜、ここイギリスでロックダウンのアナウンスが出た。たまたまチャンネルをあわせていたニュース番組でアナウンサーが何度も、ゆっくりと、厳かに、今後の外出ルールを読み上げていた。

  1. 食料品や薬など生活必需品のための買い物
  2. 1日1回運動のため
  3. 医療目的の通院、もしくは誰かをケアするため
  4. 在宅勤務がどうしてもできない場合

のみ外出を許可する。

ロックダウンは中国、そしてイタリア、スペインといったヨーロッパの他国でも始まったのを知っていたから、それ自体に特に驚きはなく「こうするしかないな」という感じだった。すでにロンドンの地下鉄tubeは連日大混雑状態で、医療従事者・警察官・教師といった「キーワーカー」の通勤に支障をきたしており、選択肢は残されていなかったと思う。

それまでイギリスでは、学校閉鎖、在宅勤務推奨、不要な外出の控え、パブ・レストランの閉鎖と段階的な警告が出されてきたが、なかなか街から人足が絶えることはなかった。とくにロックダウンが出される前の週末は、珍しく太陽が顔を出したこともあって、陽気に多くの人々が街に誘い出されていた。

筆者もその週末は念には念をとマスク・手袋をして、食料・掃除用品・トイレットロールを買いに近所へ買い物に出かけた。正直な所、新鮮な空気を吸え、太陽を浴びることができラッキーだと思ったくらいだ。

ロックダウン以後は明らかに市民の意識が変わったと感じる。人通りが減ったのはもちろんだが、外出している人も、マスクあるいはスカーフで口元を覆い、グローブをつけるスタイルが増えている。