羽根モノとは桁違いの出玉速度に衝撃を受ける

この頃のCR機には、直接サンドにお金が入りませんから、プリペイドカードを自販機で購入する必要がありました。親父が買ってきて渡してくれた3000円分のPAQYカードを受け取って、サンドに入れて、玉貸しを押して、打ち始めます。ヘソに入ると軽快な音楽と共に、盤面のドラムが回転しはじめます。ときどきリーチになったり、スーパーリーチになって高速回転したりします。ただそれだけなのに「すげえ」って思いました。

当時から液晶デジパチは存在していましたが、画面上でデジタルにリーチが進んでいく台と違って、ドラム台って「物理的にモノが回っている」わけですよね。そこに妙なロマンを感じるんです。もちろん中身はデジパチなんですけど、それの見せ方にアナログを採用しているあたり、めっちゃロマンだと思うんですよ。パチンカーにしか通じないでしょうけどね。これは未だにそう思ってます。完全に余談ですが。

……そんな親父との初めてのパチンコ、初めてのCR機は驚きの連続でした。まずね、『大人って金持ってんなぁっ!!』って思ったんですよ。1/359ですから、そう簡単に当たるわけもない。CR機を3000円打ったくらいでは、下手したらろくにリーチも見ることができないで終わってしまいます。学生の自分にはそれがイヤだったので「とてもそんな台には手は出せない!!」と思っていたのですが。

すげえのよ、やっぱ大人って。3000円くらいで当たるとは親父も思っていないのでしょう。カードを使い切ったら、どんどん次の金が出てくるのよ(笑)。簡単にパチンコ台に1万円2万円と入っていくわけですが、モロともしないの。うちは決して、家にお金が有り余っているような裕福な家庭ということはなかったので「大丈夫か、ホンマに!?」などと要らぬ心配をしましたっけ(めちゃくちゃ貧しかったわけでもないですが)。

そんなことを考えながら、親父の隣で遊技を続けていると、僕のほうに大当りが訪れました。「単発だったか、確変だったか、図柄はなんだったのか」ということは、もはや覚えていません。そもそも、確変、時短、単発の概念をきちんと理解してないんだもんな。

大当りすると、盤面下部のアタッカーが開きます。打ちっぱなしにしているだけで、バカスカとアタッカーに玉が入ります。ここで二度目の衝撃です。

『玉の出方が半端ない』のです。

そりゃそうだ。それまで打っていた羽根モノなんてせいぜいで5&10くらいの世界ですし、羽根の開放に合わせて玉が飛び込まないと賞球が得られないので、どうしてもチョロチョロとした出玉になります。ですが、CR機はどうでしょう。ほとんどの玉がアタッカーに向かうようにできている上に、賞球は15玉。今は2400玉の払い出しは神格化されてしまいましたが、この頃のCR機は、すべて「16R×10C×15玉=2400玉」の時代。滅茶苦茶なスピード感でとんでもない量の出玉が払い出されます。

俺は思うのです。「すっげえええええええ」と。あの頃は40玉交換くらいが主流なので、令和の時代での2400玉ほどの破壊力はないのですが、それでも、その出玉感に、めっちゃ圧倒されました。