こんにちは。L.A.と東京を行ったりきたりしながら、プロデュース、ディレクションの仕事をしています、風野又二朗です。

皆さんの世界で一番好なところはどこですか?風野はラスベガスです。砂漠の中にエンターテイメントが詰まった街、ギラギラした街、ラスベガス。今日はこの街について書いていきたいと思います。

ラスベガスと聞いて、何を思い浮かべますか?カジノですか?それとも、ショーですか?あるいは、高級そうなホテルが立ち並んでいるところを想像しますかね。

風野は、もともとそんな街を想像していました。オーシャンズ11であるとか、ハングオーバーであるとか、映画の中に出てくる事も多いですけど、ホテルの前に信じられない大きさの噴水があるなんて、そんな嘘みたいなところあるわけないよ!って思っていたのですが、まさかのそのままでした。

ラスベガスは、風野の想像のまま。実際にその場所に降り立つと、なんなら映画よりも想像よりも現実離れした、嘘みたいな街でした。それがラスベガスです。

▲Bellagio Las Vegas ベラジオホテル噴水前にて

街には、様々なコンセプトのホテルや建物が並び、まるでテーマパークの一角を歩いているような感じです。パリのエッフェル塔がモチーフのホテルや、ピラミッドの形をしたホテルがあったり、マクドナルドの「M」の看板でさえもスワロフスキーで装飾され、ギラギラしています。

▲Bellagio Las Vegas ベラジオホテル 風野の部屋からの風景

街の至るところにカジノがあり(ラスベガス空港の中にもある)、非現実的なこの街は歩くだけで、映画の登場人物のような気分にさせてくれる、不思議な街です。

ですが、何より風野をいつだって興奮させてくれるのは、カナダに本拠地を置き、ここラスベガスにいくつもの常設劇場を持つ、世界的サーカス劇団、シルク・ドュ・ソレイユです。

▲Zumanity ロビーを歩いていた出演者とパチリ

シルク・ドュ・ソレイユは、日本にも度々来日していて、コルテオやドラリオンなどの演目を公演しているので、知っている方も多いと思いますが、ラスベガスのシルク・ドュ・ソレイユの公演は格別であり別格です。

来日公演のクオリティもとてもすごいのですが、ラスベガスでの公演は常設劇場で行われます。つまり、機構や装置など、その演目の為に作られた劇場で何年、何十年と公演が行われるので、そのクオリティの高さは、他の劇場では見る事ができない、体験できない事の連続です。

例えば、THE BEATLESを描いた『LOVE』という公演が行われている劇場は、ステージを360度囲むように客席が配置され、その構造が生かされた演出になっています。

▲LOVE ロビーにてパチリ

他にも戦いを描いた人気の演目『KA』が行われている劇場の作りは、もはやロビーにもセットが組んであって(そもそも建設されていて)、そこからすでにパフォーマンスが始まっているし、舞台のステージが見た事のない動きをして、気がつけばそこに劇場から飛び出さんばかりの船が現れて、そこでパフォーマンスが始まったりします。

説明がつかないので一言で完結に言うと、開いた口が塞がらない演出です。

▲「KA 」ロビーにてパチリ

風野が数あるシルク・ドュ・ソレイユの演目の中で、一際輝いていると思っているのは、ベラジオホテルの中に作られた劇場で行われている、水のショー『O』です。

この劇場は、ステージが水面になっていて、演者が出てくるのは水の中から、そして、去って行くのも水の中というファンタスティックな劇場になっています。この演目こそ、THE ラスベガスだと思わせてくれる作品です。

パフォーマンスもとてもすごいのですが、ストーリーもとても良くできていて、この『O』が世界中で愛されていて、世界中からお客さんがくる事がとても理解できます。

ラスベガスに行く時は、必ず毎回この『O』を見ます。何度見ても飽きません。

風をあつめて、巻き起こす

一度ご縁があって、出演者さんをご紹介頂き『O』の劇場のバックヤードを見学させてもらいました。

そこで演者の方が、どの場所でどのように準備をされ、どういう心持ちで本番に臨まれているのかなどお聞きしました。シルク・ドュ・ソレイユの演者には、元オリンピック選手の方も多く在籍し、それでも出演を勝ち取れないぐらい厳しい世界だとお聞きしました。

全員が全てのポジションの複雑な動線を把握しており、朝劇場にきて今日のポジションを知ったりもするとおっしゃっていました。そして、それができないなら変わりの演者がスタンバイしている為、みんなすごい緊張感の中で取り組んでいると教えて頂きました。

世界トップクラスの身体能力を持った人たちが、世界一の努力と競争で勝ち得た才能で魅せるエンターテイメントが、つまらない訳がありません。何回見ても常に鳥肌が立ち、上演中は背もたれに背中がつきません。

そんな常設劇場で行われている作品が、ラスベガスにはいくつもあります。

風野が大尊敬している日本のプロデューサー達が、何度も足を運び、ラスベガスのショーを色々と参考にされてきた事は、とても理解ができます。

まるで映画のワンシーンに自分が降り立ったような気分にさせてくれる街、ここが、風野又二朗の大好きな街、ラスベガスです。

6月末、シルク・ドュ・ソレイユが経営破綻し劇団員3480人が解雇されたというニュースが飛びこんできました。3月から上演を中止していたと聞いていたので、しょうがないのかもしれませんが、いつかきっと、彼らが帰ってくるはずなので、というより、あの劇場で躍動できるのは彼らしかいないので、必ず帰ってくるはずなので、その時がくるまで待ちたいと思います。

風野はこの街に来て、大袈裟ではなく人生が変わりました。もしかしたら、あなたの世界が変わるかもしれない、そんな場所なので、地球がまたリスタートしたら、いつか、ぜひ行ってみて欲しいなと思って書かせて頂きました。

▲Bellagio Las Vegas ベラジオホテル 風野の部屋からの夜景

追記
ベラジオホテルの部屋には、噴水の音楽のボタンがあり、その音楽に合わせて外の噴水が吹き上がります。その美しさに、毎回泣きそうになります。ここで、女子に告白したら、たぶん絶対付き合えるよな!って思うんですけど、した事ない。女子と行った事がないです。

今回のオススメの映画は【ハングオーバー】です。バカな男たち4人組が、友人の結婚を前に、ラスベガスで酒を飲んで盛り上がって、記憶を失くして、一人行方不明になって探すという、コメディ映画です。暑くて眠れない夜に、映画の中の馬鹿騒ぎを見て、ラスベガスを感じながら、とても元気になって、涼しくなる映画です。ぜひ、見てみてください。それでは、また、風の吹く日に。

『風をあつめて、巻き起こす』は次回8/21(金)更新予定です、お楽しみに。