読むのに1分もかからないシンプルな「一文」が、人生を変えてくれるかも。何かに悩んでいる時に、答えに導いてくれるのは「本」かもしれない。日本一書評を書いている印南敦史さんだからこそみつけられた、奇跡のような一文を紹介します。

人生を変える一文 -『 男は「単純」で女は「複雑だ」』-

▲女と男 なぜわかりあえないのか/橘玲:著(文春新書)
進化論・遺伝学・脳科学の最新知見をもとに、普段なかなか口には出せない“不愉快な現実”を提示して話題となった『言ってはいけない―残酷すぎる真実―』の著者最新作。今作では人類最大の関心事ともいえる“男女のタブー”に斬りこんだ。「『美女はいじわる』は本当だった!?」「女は純愛、男は乱婚?」など、意外かつ誰でも楽しんで読める最前線の研究を紹介している。

印象的だったシャイな黒人女性

20年くらい前に渋谷のクラブでDJイヴェントをやっていたとき、ちょうど来日していた黒人R&Bシンガーに出演してもらったことがありました。

インタビューの依頼があり、その席で「よければ僕のイヴェントで歌ってよ」と頼んだら承諾してくれたのです。

すごく印象的だったのは、彼女がとてもシャイだったことです。西洋の女性には自己主張の強い人が多いイメージがありますし(映画などの影響でしょうか?)、実際、僕が会ってきた方も、そういうタイプの人が多い印象でした。

でも彼女は「もうちょっと自信持ってもいいんじゃない?」と感じてしまうほど控えめだったのです。歌を歌うと堂々としていたので、そのギャップが素敵でもあったのですけれど。

で、その日のライヴ後に、みんなで雑談しているとき、どうしてか本の話題になったんです。そこで「どんな本が好きなの?」と聞いてみたところ、彼女がちょっと恥ずかしそうに返してきたのは「……ハーレクイン・ロマンス……」という答え。

予想外であり、でも、その子ならありうるなぁと思って爆笑してしまったのは反省点だな。「だから言いたくなかったのに……」みたいな表情をしてたし。

けれど「僕が会ってきた西洋の女性は、気が強いタイプが多かった」というのは結果論でしかありませんし、シャイで『ハーレクイン・ロマンス』を好む黒人女性がいたって、まったく不思議ではないんですよね。

そもそも女性は「ロマンスもの」が好きみたいですし。そういえば妻も「私はラブロマンスが好きだから」とはっきり明言し、Netflixでは韓国のラブロマンスばっかり見てるしなぁ。

対する僕が、どちらかといえばバカバカしいコメディなどを好んでしまうのも、やはり男だからなのでしょうか? ラブロマンスも否定はしないけど。