男性は結局のところ女性に“屈する”ようにできている
そういえば「男と女の違い」みたいな本は少なくありませんよね。うちにも見本が送られてきたことが何度かあり、でも最初は関心がなかったのです。だから本棚に置きっぱなしにしていたら、いつの間にか妻が見つけて熱心に読み始めたのでした。
「これ、絶対に読んだほうがいい。読めば女の人の気持ちがわかるから」
そう言われて、しぶしぶ読んだところ、たしかにいろんなことがわかったので、非常に勉強になったのをおぼえています。
そんな経験があったからこそ『女と男 なぜわかりあえないのか』(橘玲:著/文春新書)も似たようなタイプなのだろうと予想していたのです。でも、ちょっと違っていました。
最新の科学的なデータを盛り込みながら「男と女の性愛の違い」について論じたもの。「異性にナンパをしかけた結果」「『男は52秒に一度性的なことを考える』という話の根拠」「心と体、どっちの浮気がより傷つくか?」など、男女にまつわる問題を解明するために行われたテストの結果が、明らかにされているのです。
ぶっちゃけ、どうでもいいとしか思えないような話も出てきます。しかしそれらは、考えようによっては大切なことでもあるわけで、だから随所でうなずかされたりするのです。
たとえば冒頭に書いた「ラブロマンス」についての、以下の記述は腑に落ちましたし、読みながら声を出して笑ってしまいました。
まず重要なポイントは、ロマンス小説には「アルファの男」と「ベータの男」が登場すること。前者はヒーローであり、後者は「女を幸福にする条件は満たしているものの、アルファには劣る」存在なのだとか。
ロマンス小説の読者がもっとも「欲情」するのは、ヒロイン(自分)をめぐってアルファやベータの魅力的な男たちが争う場面を想像することだ。そして最後に、それまで抵抗していたヒロインがアルファの男に屈し、性的に結ばれる。
しかしこれを、「男性中心のイデオロギー」とするのは間違いだ。ロマンス小説のハッピーエンドは、アルファの男がヒロインの魅力に屈することでもある。(81ページより)
このあとに出てくる「進化論的には、男は『競走する性』、女は『選択する性』として『設計』された」という一文に、本質が集約されているように思います。
端的にいえば、男性は結局のところ女性に“屈する”ようにできているということ。
そして、そのことを踏まえたうえで今回「人生を変える一文。」としたいのが「あとがき」に出てくる以下の文章です。
誤解を恐れずにいうならば、男は「単純」で女は「複雑だ」
(246ページより)
だから男は「競争する性」で、女は「選択する性」という関係性が成り立つわけです。男っていくつになっても、子どもみたいで単純で、ちょっとおバカですからね。我が身を振り返ってみても、それはまったく否定できません。