部署移動したらBL担当の席が空いてました

――たしかに(笑)。 リアル「おっさんずラブ」になってしまいますね。薄い本が出来てしまいそうです。BL担当になったキッカケは、なんだったのでしょうか?

honto井上 キッカケとしては、自分で希望したというよりは、会社に入社して2~3年目ぐらいに部署移動となったんです。そのタイミングで、どのジャンルを担当するかってところで、なんとなくそこ(BL)が空いてたから、みたいな感じでした(笑)。

――それまで、BL作品を読んだことはあったんですか?

honto井上 読んだことは……ありましたね。一番最初に読んだのが、いまパッと出てこないですけど。恐らく最初のほうに読んだであろう作品は『恋するインテリジェンス』(丹下道:著)だったんですけど。

BLジャンルを売り伸ばすために、試行錯誤をやっていくうえで、当然作品に触れる機会も増えていくので、自然に読む量が増えていって(笑)。もともとコミックが好きなんですけど、最初のとっかかりとしては、一般コミックの延長線上で読み始めちゃったんですよね。

――なるほど、じゃあジャンルの一つとして読み始めた感じですね。

honto井上 野球、サッカー、BLみたいな、そういう解釈ですね(笑)。

――そこから「沼」がはじまったんですね。hontoさんでは、BLジャンルでどんな本が売れていますか?

honto井上 発売から5年、10年経った作品が、当たり前のように売れるのは一つの特徴だと思います。これは在庫の概念が無い電子特有でもあるんですが、同時にそういった作品に目がいくような企画も行っています。そして何より作品の魅力は、時間の経過で衰えることが無いと強く感じますね。

――すごい売れたな、というレジェンド作品はありますか?

honto井上 そうですね。樋口美沙緒先生や六青みつみ先生など、いわゆるベテランの作家さん。本当にもう10年とか、20年とか描かれているような作家さんの作品を、フェアや企画で新たな切り口でスポットライトを当てたときに、やっぱりものすごく売れるんですよね。

個人的な推しジャンルは「人外系」です

――名作は、いつの時代でも面白いですからね。改めて推したい本などはありますでしょうか?

honto井上 準新刊と呼ばれる、先月・先々月に発売された作品ですね。毎月BLだけでも数多くの新刊が発売される中で、新刊として注目される期間はあまり長くありません。

そういった作品に注目してもらうために、例えば前月のランキング企画を実施したりしています。「読もうか迷って買わなかったけど、上位にランクインしてる……。やっぱり読んでみようかな」というような出会いの場・機会を幅広く作れたらと思っています。

――ちなみに、井上さんが個人的に推したい作品はありますか?

honto井上 個人的に……。いっぱいあるんですけど(笑)。そうですねぇ、BLの中でもいろんなジャンルがあるんですけど。あっ、ご存知だと思いますが(笑)。そうですね……、人外系の文善やよひ先生の……〔井上さんが、スマホで自分の電子書籍本棚を検索〕『鴆-ジェン- 』という作品とかは、とにかく絵がとんでもなく綺麗で。なかなか一般コミックでも、ここまで動物の表現が描き込める人って、いないですよね。

――私も購入してますが、鴆(ジェン)という鳥人の描きこみと色彩のセンスがすごいですよね。

honto井上 文字通り「鳥肌がたつ」ですね(笑)。

――たしかに(笑)。井上さんは、BL担当として普段どのようなお仕事をしているんですか?

honto井上 そうですね。BL担当として毎月の販促計画を立て、フェアの企画や展開内容の調整を行っています。企画提案や売上報告など出版社・取次との渉外業務も行いますね。あとメインの業務ではないですが、ここ1年の間ではメディア関係のお仕事もさせて頂いています。昨年は、ダヨオ先生とのトークショーをさせてもらいまして、実際に作家さんとお話をする機会が頂けて、すごい嬉しかったですね。

あとは、BL専門フロア「すわんぷ」の運営に携わりながら、従来のhontoでは実施していなかった作品の情報発信やグッズ製造・販売など、新しい企画に取り組んでいますね。

――トークショー! すごいですね。サイン会とかしたんですか?

honto井上 僕はしてないです(笑)。でも先生のサイン本販売など、イベントはとても評判が良くて、次をやりましょうという動きはあるんですが、ちょうど今こういう状況になってしまったので、オンラインで何か出来ないかなっていうのを模索中です。もしかしたら、秋頃に何かできるかも知れませんね。