国際金融勢力によるロシア乗っ取り計画

ロシア革命も、二回の世界大戦も「世界統一」を目指す、国際金融資本家たちの意向によって動かされてきました。

1814年から翌年にかけて「会議は踊る」と揶揄された、ウィーン会議という国際会議がありました。

▲ウィーン会議の様子 ジャン=バティスト・イザベイ:画 出典:ウィキメディア・コモンズ

フランス革命およびナポレオン戦争の後、ヨーロッパの政治秩序を再建するために行われた会議というのが通説です。オーストリア・プロシア・ロシア・イギリスの四大国が、事実上の決定権をもっていたと言われています。

ウィーン会議以来、近代200年の世界の歴史は、ロシア支配をめぐる戦いだと言ってもいいでしょう。今から100年ほど前に、イギリスのハルフォード・マッキンダーという地政学者が、自著〈邦訳は『マッキンダーの地政学――デモクラシーの理想と現実』(増村保信:訳/原書房:刊/2008年)〉の中で、以降の地政学者や国際政治学者が必ず引用する、次の有名な言葉を残しました。

「東欧を支配するものがハートランドを制し、ハートランドを支配するものが世界島を制し、世界島を支配するものが世界を制する」 

ハートランドは、ロシアとウクライナを指していますが、事実上ロシアと考えて差し支えないでしょう。さらに重要な点は、マッキンダーは「ハートランドたるロシアが世界を制する、と言っているわけではない」ということです。「何者かが世界を制しようと思えば、ハートランドたるロシアを支配しなければいけない」と指摘していることです。

ロシアを支配すれば世界を支配することができ、世界を統一することができるというわけです。

ロシアは歴史上、世界制覇を目指す国家や勢力の侵略に晒されてきた、と言うことができます。たとえば、ナポレオン・ボナパルトはロシアを征服しようとして敗北しました。

「ロシアは領土拡張主義である」とはよく言われることです。しかし、この批判が正しくないことは、これでお分かりになったと思います。だから、世界統一を目指す国際金融勢力は、ロシアを支配することを追求してきました。ロシア革命は、ロシアの乗っ取りを画策した国際金融勢力による侵略だったのです。その証拠はすでに明らかになっています。

欧米の国際金融資本勢力は、ロシア革命を推進したウラジーミル・レーニンを資金的に支援しました。国際金融資本家たちのロシア革命への投資は成功します。

レーニン率いるボルシェビキという組織が、武装闘争によって権力を奪取しました。革命は成し遂げられ、ロマノフ王朝が打倒されたわけですが、ロシア革命政府は、王朝が保有していた莫大な資産の多くを、欧米の投資家に利益還元しました。

投資家の手に渡ったのは、ロマノフ王朝の財産だけではありませんでした。レーニンと並ぶロシア革命の指導者の一人に、レフ・トロツキーという人がいました。

▲レフ・トロツキー 出典:ウィキメディア・コモンズ

トロツキーは、アメリカ亡命時代にヤコブ・シフの援助を受けていました。ロシアで革命の機が熟したときに、アメリカのパスポートを与えられてロシアに入国し、革命に従事します。

トロツキーがまず行ったのは、ロシアの民衆が保有していたゴールド(金)を没収することでした。共産主義には、資本私有禁止の思想がありますからね。没収した金は、革命家たちが投資家に負っていた負債の返済にあてられました。