白人でも黒人でもアジアの方々でも、みんな兄弟です

ゾマホンさんが、母国ベナンを説明する時に必ず使うフレーズがある。それは「アフリカ大陸が人類発祥の地である」ということ。今、世界があらゆる差別によって生じている、混沌と憎悪にまみれているなか、私たちが改めて目を向けたい事実だ。

「アフリカ大陸が人類発祥の地であることを、世界中の幼稚園から大学で教えないと、世界はなかなか美しくならない。平和には絶対ならない。テロ事件をなくすことはできない。歴史は非常に大事。日本には『故(ふる)きを温(たず)ねて新しきを知る』ということわざがある。どんな国の歴史でも、大事なことを教えないといけないんです」

そして今年5月、世界を震撼させたジョージ・フロイド事件から、黒人への人種差別抗議運動“Black Lives Matter”(ブラック・ライブズ・マター)へと発展した世界に、危惧感を抱いているという。

「あの白人たちの、教育のレベルが低いことが原因です。優越感という病気を持っています。アメリカだけではなくて、ヨーロッパ全体。自分たちがアジアの人々より優れていると思っているから。黒人より自分たちが優れていると思っているから。大きな精神病です。これは平和のために、はっきり言わないといけない。みんなお互いに人間だから、白人でも黒人でもアジアの方々でも、みんな兄弟です。それを身につけないと、教えないと、自分が優れている、偉いと思ってしまうんです。いくら肌の色が違ったとしても、いくら文化や考え方が違うとしても、みんな人間だから、みんな仲良くしなければならない」

人間にとって本当に大切なことを、シンプルなメッセージで力強く繰り返すゾマホンさん。この時代に何が必要か、と聞くと「今こそ、日本という国がアメリカを助けていかないといけない。日本の文化、人間性と愛情に基づいて動いている文化を、アメリカは理解しないと」という答えが返ってきた。

そしてなんと、ゾマホンさんはベナンの大統領候補として80%の支持率があったという。自ら立候補したのではなく、世論の声で、だ。だが、それを快く思わない与党側からマークされ、マフィアから命を狙われるという重大事件になった。「今の政府が民主主義を全然守っていなかったの、野党は国会の選挙に参加できない、と勝手に決めた。独裁者なの」という言葉には、命からがら助かった重みも感じさせた。

「だから日本の皆さん。若者たちにも大人にも、どうすれば日本の治安や安全さを永遠に守れるか考えてほしい。この精神を世界の皆さんに伝えられるか、ご協力をお願いいたします。あなた方が未来の光です。どうすれば世界にもっと役に立てるか、日本の志を伝えられるか、ご協力をお願いいたします」

今後もベナンと日本の架け橋になりたい一心で、ゾマホンさんを突き動かす源はとても明快だった。

「日本を好きだけではなく、愛しているんです」

LINEスタンプも近日発売とのこと。常に行動し続けるゾマホンさんの“これから”に注目したい。


〇ゾマホンさんインタビュー(前編)
〇ゾマホンさんインタビュー(後編)