グループごとにライフスタイルや生活様式が異なる

私がフィールドワークを行う、オハイオ州アーミッシュカントリーには、実はいろいろなタイプのアーミッシュが暮らしています。

便宜上「アーミッシュ」とひと口にくくって表現をしていますが、アーミッシュの中にもいくつかのグループがあり、それぞれ暮らしぶりが異なります。そして、同じグループであっても住んでいるエリアによって、さらにライフスタイルが違ったりもします。

オハイオ州には、シュワルチェントルーバーアーミッシュ・ダンアーミッシュ・オールドオーダーアーミッシュ・ニューオーダーアーミッシュなどのグループが存在します。シュワルチェントルーバーアーミッシュが最も保守的で、伝統的な暮らしを維持しているグループ。次にダンアーミッシュ、次にオールドオーダーアーミッシュ、次にニューオーダーアーミッシュと続きます。

歴史的に見ると、もともとメノナイトから分派したアーミッシュですが、その後もいくつかのグループに分派していきました。グループの分派は、主にテクノロジーや現代的な生活様式を、どの程度よしとするかの考え方の違いによって起こるようです。

▲アーミッシュの納屋の中

例えば、オールドオーダーアーミッシュは、自宅で天然ガスのライトやオーブンを利用しますが、シュワルチェントルーバーアーミッシュは、ガスの利用をよしとせず、オイルランプやウッドファイヤーオーブンを利用します。

同じように、ニューオーダーアーミッシュは、自宅のリビングなどに電話を置きますが、オールドオーダーアーミッシュは置きません。生活様式だけでなく、服の色みや帽子のつばの広さ、自宅のインテリアや農具などの細部にも違いが見られ、さらには英語の習得度や、異文化に対する知見の広さも異なるように感じます。

私のフィールドワークを行うエリアは、シュワルチェントルーバーアーミッシュとオールドオーダーアーミッシュが多いのですが、ひと目でどちらのグループに属するアーミッシュなのかは分かります。それくらい、違いが明白です。

そして興味深いことに、同じグループ内のアーミッシュ同士の関係は密なのですが、グループが違うとそれほど交流がないそうです。

一度、私がシュワルチェントルーバーアーミッシュの作ったキルトや服を持っていくと、オールドオーダーアーミッシュの女性たちが珍しがりながら、細部の縫い目や生地をチェックしていました。彼らにとっても異なるグループの文化・習慣は物珍しいことのようです。

もっとも、グループごとに住んでいるエリアが異なるので、お互いの文化になじみがないのは、当然のことなのかもしれません。

アーミッシュの文化を理解するにあたって、彼らがいくつかのグループに分かれていること、さらに、グループごとにライフスタイルや生活様式が異なるということはぜひ、知っておいてほしいのです。

▲アーミッシュは自動車を持たない。移動手段は馬車がメイン