ソーシャルディスタンスが引き起こす悲劇

一方、ソーシャルディスタンスが原因で、問題物件になったところもあります。

ある程度のグレードのマンションの多くは、入り口の自動ドアの脇にインターホンが設置されています。ここでお客様の部屋番号を押して「ウーバーイーツの配達です」と伝えると、注文者が解錠ボタンを押して自動ドアが開き、配達員はマンションに入ることができます。そこからエレベーターに乗って注文者の住むフロアへ行き、ドアのところで再びインターホンを鳴らして商品を渡す、もしくはドアの前に商品を置いて立ち去る、というのが基本の配達パターンとなります。

しかし、意地の悪い見方をすると、このシステムの場合、1階にあるドアが開きさえすれば、マンション内のどの部屋にも行くことができてしまいます。宅配便で配達に来た人と同じタイミングでマンションの中へ入ることも可能です。

どさくさにまぎれて、不審者がマンションに入ってくるかもしれない。そんな不安を解消するためなのか、1階の自動ドアとエレベーターが連動しているマンションが、最近増えています。

▲高級マンションのエレベーターにも弊害が…

これは、1階の自動ドアで「902」のインターホンを押してドアを開けてもらった場合、エレベーターでは9階のボタン以外は押せない、といった画期的なシステムで、10階建以上の高層のマンションでよく見かけます。

安全面を考えたら素晴らしいものですが、このシステムには大きな欠陥が……。例えば、902号室のお客様に1階の自動ドアを開けてもらった場合、エレベーターホールに到着して、最初にやってきたエレベーターに乗らないと9階のボタンを押せないのです。

去年までは特に大きな問題ではなかったのですが、今はソーシャルディスタンスを意識する時代。マンション用の小さなエレベーターの場合、2~3人乗ったら「次に来るのに乗るので行っちゃってください」というのがマナーとなっています。ましてや私は配達員。居住者の間に割って入って、エレベーターに乗りこむわけには行きません。 

となると結論はひとつ。再び1階の自動ドアのところへ行き、インターホンを押して「エレベーターに他の方が乗られていたので、もう一度解錠をお願いします」とお願いしなければならないのです。このお願いを3回繰り返してから届けたときは、お客様がこちらを睨み付けておりました。

このような配達員にとっての問題物件は、お客様にとってもデリバリーで時間がかかってしまう、使い勝手の悪い物件だと思います。新居を決めるときは間取りや収納、水回りの確認も大事ですが、こういう配達員目線の視点も入れてみるといいかもしれません。

『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は、次回11/13(金)更新予定です。お楽しみに!!