暮らし系YouTuberに感じる「心地よさ」
OKUDAIRA BASEというYouTuberの存在を知ったのは、いつのことだったでしょうか?
僕は生活系(暮らし系)のYouTube動画が好きなのですが、いい動画はないかなと探しているとき、たまたま発見したのだと記憶しています。
息子と同年代の男の子が、都内には珍しい築31年、家賃4万8千円の1DKのアパートでの生活を淡々と映し出したチャンネル。ごはんをつくったり、掃除をしたり、DIYをしたりと「普段の生活」を、そのまま切り取っているのです。
オリジナリティに欠け、ただバカ騒ぎをしているだけのYouTuberに辟易していたこともあり、その動画を初めて見たときには新鮮に感じたものです。
22歳で愛知県の大学を卒業し、アルバイトをしながら貯金をして、上京後は桑沢デザイン研究所の夜間部でデザインを学び、アルバイトを経てYouTuberとして活動している。そんな青年。
映像のセンスがいい。動画を見た企業から、動画制作やキッチンツールのデザインの仕事の依頼が来るという話にも、充分にうなずけるものがあります。
見た人に「仕事を頼みたい」と思わせるだけの魅力があるからです。
『OKUDAIRA BASE 自分を楽しむ衣食住: 25歳、東京、一人暮らし。月15万円で快適に暮らすアイデアとコツ』(奥平眞司:著/誠文堂新光社:刊)という自著も、出版社の人がOKUDAIRA BASEを見て、なにかを感じたからこそ誕生したのでしょう。
かなり売れているようです。それは、派手派手しいものではなく「当たり前の、穏やかなこと」に対するニーズの高さを物語っているようにも思います。
しかも自分のペースを持っている本人が、話題になったからといってチャラチャラしたりしないから、余計に心地よいんですよね。
僕は、今のところ将来に不安を感じていません。
未来にはいいことも悪いことも起こるに決まっているので、今から考えてもあまり意味がないと思うからです。
いつも目の前のやってみたいことで頭がいっぱいで、将来のことに思いをはせる余裕がないのかもしれません。僕が将来に不安を感じるとしたら、それは目標や夢中になれるものがないときかもしれません。
(110ページより)
というわけで、今回の「神フレーズ」はこれ。「未来にはいいことも悪いことも起こるに決まっているので、今から考えてもあまり意味がないと思うからです」という部分には、著者のとてもよい部分が出ていると思います。
追記:この原稿を書いていたら、息子がふらっと顔を出したのでびっくりしました。近くで用事があったので、ついでに寄ったそうです。だから、すぐ帰りました。