プロントの看板やロゴを大リニューアル!

片山 こういう状況が続くなかでは「生ビール〇円引き」のような、目先のキャンペーンを打っても意味がないと思いまして。もっと抜本的に「お客様に選んでもらえる」、こんな状況でも「プロントに行きたい」と思ってもらえるように、お店を再編すべく業態やブランドを見直し分析しました。その結果、今年の春頃からブランドカラーもロゴもメニューも全て一新する大勝負を打ちます。

新保 あっ、それが“ビッグチェンジ”なんですね! ブランドカラーもロゴも変えるなんて、かなり勇気がいることだと思います。このコロナ禍で事業を縮小するビジネスも多いなかですごいですね。

片山 しゃがんでいても仕方がないです。もう振り切って変えていきますよ。その計画を引っさげて私がカンパニー長となり、責任を持って戦略を実行する立場になりました。 

新保 その展望、ぜひお聞かせください!

片山 プロントは、他のカフェと比較しても「おじさん臭い」イメージがついてしまっていた。これは自社でも課題認識していましたが、打開策を打ち出せずにいた。コロナ禍に関係なく、今後5年10年先のプロントの存続のためにも、まずはそこを変えねばと思いました。

プロントの出店立地である主要マーケットは、都市部を中心とした「働く場所」です。毎年このマーケットには新社会人が参入し、定年を迎えた方々がいなくなります。この流動する人口構造のなかで継続して商売を続けていくためには、参入した新社会人を顧客化し続けることが重要です。初期段階でマイブランド化され、好きになってもらえれば長く利用してもらえるからです。スタバはそれで若い世代を捉え続けています。

この若い世代の方に支持されるために、カフェとして必要なKSF(Key Success Factor)は「利便性」に加え「ファッション性」が重要です。今のプロントに利便性はあってもファッション性はありません。ですので、この古いブランドイメージを一新するためには、ブランドカラーやロゴを含めた大幅な変更が必須だという戦略を取りました。

新保 歴史があるゆえに……。ターゲットの年代を低くされたということですが、たしかに若い世代は、コロナ禍でも飲食の消費が落ちないと言われていますよね。

片山 この傾向は来年以降も確実に続きます。たしかに今は人出が減って外食全体の売上も落ち込んでいます。しかし、よく見ると繁盛店は変わらずお客さんが入っている。つまりコロナ禍では、せっかく外食するんだったらと「行く店を選ぶ」傾向が強くなっているのだと思います。だから我々は「選ばれる店」を徹底的に作っていきます。

新保 言われてみればそうかもしれません。そう思わせるためにどんなことを考えていらっしゃいますか?

片山 強い来店動機を作ることです。そのためには、業態を明確にすること、また話題性を生むためにお店をコンテンツ化する必要があります。「美味しさ」という抽象的で当たり前のPRではダメです。“面白さ”や“意外性”を持たせないと話題になりません。「なんじゃ? プロント?」「これってプロントだよね?」そこから来店きっかけを作ります。食べ物や飲み物が美味しいことが伝わるのは、その後でいいと思っています。いわゆるアイドマの法則〔消費者の心理的行動モデル〕の徹底です。

▲“ビックチェンジ”の展望をざっくばらんに語ってくれた片山さん

新保 「美味しい」は前提ということですね。

片山 はい、日本の外食はレベルが高すぎるんです。どこのお店に行ってもだいたい美味しい。「ここのお店、マズすぎて食べられない」ということはあまりない。海外だとよくありますけどね。なので、抽象的に「美味しい」だけでは差別化にならない。それは前提として、楽しんでもらえる仕掛けを用意したいんです。

新保 仕掛けを作って話題を生めば、お客様もたくさんいらっしゃいますね。その仕掛けとは具体的にはどんなものでしょうか。

片山 夜に関しては、33年間続けたBAR、カフェ&バーの形態をやめて、昼はカフェ=喫茶、夜は酒場を融合させた「喫茶酒場」“キッサカバ”という業態を作ります。トレンドのネオ大衆のノリを取り入れた、プロント流のネオ酒場です。こんな看板とロゴにして、暖簾もあって……〔社内資料を見せていただく〕。

看板メニューは、洋酒(スピリッツ)をサワーとして飲んでいただく「洋酒サワー」です。併せて「ザ・ニューサワー」という、ダサかっこいい名前のオリジナルサワーも開発しました。サントリーはどんな時代も酒の飲み場、文化を創ってきた会社です。トレンドをしっかり抑えつつも、プロントから新しい酒場を世の中に提案していきたいと考えています。