「ご飯が美味しい」「夜はバーになる」イメージがあるプロント。スターバックス、タリーズなど人気チェーンがひしめく日本のカフェ業界の中でも、その個性が光っています。そんなプロントがなにやら2021年“ビッグチェンジ”をするんだとか。その仕掛け人である、株式会社プロントコーポレーションの取締役プロントカンパニー長・片山義一さんに詳しくお話を聞きました。

※編集部より:今回のインタビューは緊急事態宣言前に行われたものです。

母体はサントリー、ルーツはBARにアリ

新保 今回は、お時間をいただきましてありがとうございます。まずは、ご存じない読者の方も多いと思いますので「プロント」創業の経緯を簡単に教えていただけますか。

片山 プロントコーポレーションは、サントリーとUCCが出資して作った会社です。サントリーは酒類メーカーですが、お酒を販売するだけでなく、お酒が楽しめる外食業態を作る取り組みも長年してきました。

新保 その一環としてプロントができたんですね。

片山 創業は33年前です。当初はショットバー業態の昼の時間を利用して。昼はコーヒーショップ、夜はショットバーの営業形態を兼ね備え、高収益を確保する今のカフェ&バーの“二毛作”業態が出来上がりました。

新保 なるほど。プロントさんの評判として、周りから「お酒が飲めるのがいいよね」という声をよく聞くんです。やはり今もお酒を楽しまれる方が多いですか。

片山 はい。プロントは、駅前やオフィス街の立地が多く、会社帰りのビジネスマンのお酒の席として使ってもらえます。たとえば仕事終わりに、キャッチアップをしながら先輩・後輩、得意先と飲む。おつまみも食べながら。そういった利用シーンになっているのかなと思いますね。

新保 長時間や大人数での会食などを我慢すべき今、短時間で、少しだけ仕事終わりに話をするときなどに向いている場所ですね。そして言われてみれば、駅近の立地が多いですね。そのあたりは狙いを定めて出店されているんですか。

片山 プロントの創業時からのコンセプトは「職場と家庭をつなぐジャンクション」です。その場を、駅周辺やビジネスエリアに寄せて作ってきました。人は朝から夜の生活のリズムのなかで、飲みたいもの、食べたいものは違うと思いますが、働く人が生活のベースを置く場所で、朝から夜まで同じ場所でありながら、シーンに応じた飲食利用を利便性高く楽しんでもらえたら、という狙いですね。

新保 やっぱりカフェにしても飲み屋さんにしても、お気に入りの店というのが決まってくるので、そこが朝も昼も夜もやっているというのはいいですね。私はプロントさんには安心感を持っているんです。仕事柄、全然知らない街に取材に行くことも多いのですが、プロントさんなら駅の近くにあるんじゃないかと。「ちょっとお茶したいな」「ちょっとお腹が空いたな」どっちのニーズも満たしてくれますし。

▲新保さん自身、仕事の出先でよくプロントを利用しているという

片山 そう言っていただけて、ありがたいです。

新保 2020年はコロナ禍で大変だったと思うんですが、店舗はどのような状況でしたか。

片山 緊急事態宣言下では直営店、FC店舗様ともに、国と地方自治体の要請を遵守した営業体制をとってまいりましたが、多くの店舗が休業せざるを得ない状況でした。全体の状況としては6月に数字が戻る傾向が始まり、7月末からまたおかしくなって、9月からはよくなるかなと思ったら……。

新保 第二波、第三波が来てしまった。何か対策はされていたのでしょうか。