“配達員女子会”という甘美な響き
私とは畑違いのバイク配達。機動力も高く、距離も回数もこなせるバイク配達員の普段の稼ぎはどれくらいなのでしょうか。彼女のアプリの画面を見せてもらうと、驚きの数字が並んでいるではないですか!
画面に並ぶチップの金額が見たことのない高さなのです!
「チップは1回で1000円くらいくれる人も結構いますね。この前、配達員女子会をしたときに聞いたら『5000円もらえた!』という子もいて、さすがにビックリしました」
46歳のおっさんと20代女性、当然といえば当然かもしれませんが、これを聞いて驚きました。
私も店で料理が出来上がるのに時間がかかるとき、中年の配達員同士で情報交換をすることがあります。中年同士の会話では「この前チップで500円くれた人がいてさ」というと「そんなにもらえたんですか!!」となるのが一般的。100円以上もらえるだけでも自慢の対象だ。しかし、女性配達員の皆さんはケタが違うようです。
さらに「配達員女子会」という言葉も初耳でした。
「SNSで呼びかけて集まって、配達の話とか、あそこに配達したときはつらかったなとか、こんな変な場所に運んだよ、みたいな話ですごく盛り上がりました」
コロナ拡大の影響で、最近は配達員になる人が急増。限られた配達依頼を奪い合うという状況になったため、配達員のなかには「周りの配達員は全員敵」といった雰囲気で睨みをきかせる人もいるだけに、驚きを隠せない私。 その一方で、彼女たちのように、配達員仲間で集まって交流を深める――そういう人もいるのですね。
まぁ、私ぐらいの年代で配達をする人は、いろんな意味で切羽詰まっている人が多いので、もし「配達員中年会」を開催してもギスギスした空気になるだけだとは思いますが……。
負けていられないと、私の変わった配達先エピソードを話していると、面白い反応がありました。
「私もラブホテルは何回か配達したことありますね。ラブホテルって、アメニティーとかを部屋のドアを開けずに渡すことができる小さな扉がドアの脇にあるので、その扉を開けて注文した商品を渡したことがあります。ドアをノックしたらバスローブ姿の男性が出てきたことも」
「風俗店で働いている人で、ウーバーイーツのヘビーユーザーがいて、お店の控室に運ぶこともありますね。初めて配達したとき、そういうお店に女性用の別の入り口があることを知らなくて、普通に入口から入ったらボーイさんに『裏口から入ってね』と注意されました」
「あと、夜中に電気がチカチカしていて、人の気配がないアパートへ行ったこととか。初めて配達するエリアでトイレがなくて……」
詳しく話を聞いていくと、なんだか今まで自分が経験したエピソードが、面白みのない話に感じてきてしまったので、まだまだたくさん話したい様子でしたが、話を打ち切らせてもらいました。
中年自転車配達員の私にも、それなりの苦労はありますが、女性ならではの苦労もたくさんあるのがわかったので、いい経験となりました。それにしても、チップの額がうらやまし過ぎです。。。
『アラフォーUber Eats配達員 激走日記』は、今回で最終回となります。今まで読んでくださった皆さん、本当にありがとうございました。ちなみに、当連載をまとめた書籍『アラフォーウーバーイーツ配達員ヘロヘロ日記』(本体1100円)が、4月26日(月)にワニブックスから発売されます! ぜひお買い求めください。
それでは、また機会がありましたら、お会いしましょう!