おさかなの面白い&タメになる生態を描いた4コマ漫画がSNSで反響を呼んだ、さかなのおにいさん“かわちゃん”こと川田一輝さん。

初の書籍『ツッコミたくなる おさかな図鑑』(小社刊)では、SNSに投稿している4コマ漫画は全て描き直して掲載、そして新作の4コマ漫画も描き下ろし! さらに全70種のさかなたちをキャラクター化したイラストまで描いたという。

まさに心血を注いだ1冊となった書籍の発売を記念して、川田さんに“本に込めた想い”について聞いてみました。

個性がありすぎるさかなたちに愛あるツッコミを

――発売おめでとうございます! 新刊『ツッコミたくなる おさかな図鑑』の制作にあたり、もっとも苦労したこと、もっとも楽しかったことをお教えください!

川田 一輝 (以下川田) 楽しかったことは、描いてるうちにさかなが人間に思えてきたことです。せっかちすぎて船に刺さっちゃうカジキや、実はちゃんと練習してるテッポウウオなど。「キミ急ぎすぎやねん」「努力家やなぁ」と描きながら、さかなたちに話しかけてたことがツッコミになって、このイラスト図鑑の特徴になったのはうれしかったです。そんなさかなたちにさらに親近感が湧くように、服を着せたり刀を持たせたり、人間っぽく描くのは苦労した点かもしれません。(でもそれも楽しかったです!)

▲急には止まれないカジキと努力家テッポウウオ

――川田さんが「さかな好き」になったキッカケを、お話いただけますでしょうか?

川田 ぼくがさかな好きになったきっかけは、幼馴染の男の子の影響です。彼がとてもさかな好きで、家に行くたびよく図鑑を見せてくれました。ただその数年後に彼が転校することになり、そのときお別れの印に一冊のさかな図鑑をくれたんです。

▲幼なじみと夢中で読んださかな図鑑

寂しさから読んでるうちに、さかなにハマっていき、釣りや水族館へ通い、気づいたらさかなの魅力を伝える「さかなのおにいさん」になっていました。

ある日、その彼と15年ぶりに再会することになったのですが、久しぶりに会う彼は当時と全く関わらず、なんと学校で生き物の先生になっていました。

ビールで乾杯しながら、あの頃と同じようにさかなの話で盛り上がれたのがうれしくて、自分の人生を変えてくれた、そして大切な友人との縁をつないでくれた、あの一冊の図鑑のような本を作りたい! と思い、その夢が叶ったのが『ツッコミたくなる おさかな図鑑』なんです。

……ちなみに、その後日談。本にするにあたって幼馴染の彼に「キミのこと書いていいかな?」と聞いたら「もちろん、学校の図書館にも頼んで置いてもらうね」と返信してくれたんです。それもうれしくて絶対に面白い本にしよう! と思いました。

▲再会した幼馴染と語り合った日

――まさに「ツッコミたくなる」エピソードや、おさかなたちの生態が満載ですが、川田さんが特に思い入れのあるおさかなと、そのツッコミどころをお教えください!

川田 いろんな笑えるツッコミがあるんですが、あえての「泣けるツッコミ」で言うとブラックバスです。

ブラックバスの魚生(さかなの人生)は、パパから食べられそうになるところから始まります。親から逃げ出した子バスは、鳥から逃げたりエビと戦ったりして大きくなり、せっかく出会ったメスは卵を産んだら逃げてしまい、オスだけで卵を守る……と、大人になっても踏んだり蹴ったりなんです。

そして、子どもが産まれると、巣立ちを促すために大きな口で追い立てます。このときにハッと過去を思い出すんです。パパから食べられそうになったと思ってたけど、実はパパの愛やったんや……!

名前はブラックバスやのに、心は超ホワイトなんかい! 泣ける〜!!

▲苦労魚ブラックバスの一生