“ささやかわいい”思い出は甘酸っぱい

今となってはすっかりご無沙汰な光景となった「公園飲み」。1年とちょっと前、共通の友人2人が、その「公園飲み」の最中に電話でわたくしを召喚してくれた。まずそれがかわいい。

しかし、ほんとうのかわいいはここから。わたくしが電話に出ると1人の友人が「あやねさんに会いたい!」とそればかりを繰り返し始めた。もう1人はというと、電話の向こうからもわかるくらい戸惑いながら、しかし止めることなく相槌を打っていた。確か夜の12時頃だったように思う。わたくしは2人が愛おしくてたまらなかったのに、終電が無くなるという味気ない理由で会いに行くのは叶わなかった。

言うまでもないが、その寂しさもまた、このエピソードのかわいい性を助長させるエッセンスである。ああ、早くキュートなふたりと3人で、世にもかわいい会合を開催したいなあ。ふたりとも多忙であるので、どうにか予定が合えば、と思う次第だ。

もう少し遡ると、この目で、この肌で、しかと受け止めたささやかわいいのトンデモ物件がある。その日は、いかにも「学生」がしそうな、勉強会をしていた。日もすっかり暮れて、人通りもまばらとなった夜道というのもあり、近くの駅まで友人がわたくしを送りとどけてくれた。なお、その友人は勉強会の会場から徒歩の距離に家があった。

頑張ったあとというのは、おしゃべりが楽しくなるスパイスらしい。わたくしたちはあっという間に駅前の大きな信号まで出てきてしまい、なんだかちょっぴり寂しい気分になった……のは、どうやら伝わっていたらしい。友人はとっくに青信号に変わった信号に一瞥をくれ、横断歩道に足を踏み入れ無かった。そしてこう言った。

「信号待ちは、一緒にいる時間がのびるね。」

なんの偶然か、この友人は先日バースデーを迎えたので、お祝いがてらちょうどいいと思い、この“ささやかわいい”エピソードを覚えているかと聞いてみた。すると、記憶してくれているそうで、心底うれしくなった。かわいいメモリーなんて、なんぼあってもいいですからね。後日、この友人を盛大に祝う予定でいる。

そう言えば、こんな世の中になっちまってから、勉強会という言葉を耳にするのも口にするのも、躊躇うようになってしまった。いやに静かな部屋、ひとりで教材とにらめっこである。振り返るとその姿は哀れにも孤独そのもの、いとあはれ、とは程遠い鬱屈タイムであった。

何か変化をもたせようと、おとものグミを見ると、なんと都合よく星型が混ざっているではないか、、、! こころがしんどくて、細かいラッキーポイントを素通りしてしまうくらい、ときめきとすっかりご無沙汰のコヌマ。しかし、今日の彼女は違う。梶井基次郎の『檸檬』の「私」を憑依させ、ある行動に出る。

ま、まさか、丸善に星型のグミを……と、そんなわけがあるか。こちらの写真をご覧いただきたい。わざわざアルミホイルを準備し、星空に見立ててカフェオレも添えてパシャリ。なかなか良いではないか。『檸檬』の彼に取り憑かれたコヌマは、なんの迷いもなく、説明無しにはイミフメイなこの写真を連載に掲載してもらうのである。

▲『檸檬』の“私”を憑依させた結果、グミが…

後日、自分で見返して鼻で笑うなんて、するに決まっているだろう。しかしこれによって、読者のみなさまへ、“ささやかわいい”は、こんなにも身近に材料が存在する、梶井基次郎はいつだってあなたの味方だという証明ができた。共に心置き無く“ささやかわいい”ライフを楽しもうではないか。

私の周りの「コヌマささやかわいいエピソード」を紹介

こんな機会なので、周囲の方に御協力いただき「コヌマささやかわいいエピソード」を募集してしまった。まあ、完全にわたくし得の企画ではあったが、みなさまと共有することで、幸せ沼の民得にもしていただこうとおもう。

まずはこちら。「誕生日の日にバースデーソングを歌ってる動画をくれた」

確かに、この方には何年か前の誕生日に動画を送りつけた。しかし、今まですっかり忘れていたので、まさかこのエピソードを出してきてくれるとは、思いもよらぬうれしさを貰ってしまった。たまには聞いてみるものである。ありがとう友よ。

つぎはこちら。「服を買ったり、美容院に行くと報告してくれる」

めちゃくちゃ報告している。これでもか、というくらいに毎度毎度報告する。我ながら懲りないなあと思っている。が! かわいいとなるとやり続けてしまうではないか……。これからも報告しよう。ありがとう友よ。

さて最後はこちら。「しぐさすべてがかわいいので……」

長年来の友人で、最も信頼を置いているうちの一人である。わたくしは、この方が大事でたまらない。大事でたまらない人に大事にされている。この企画を実行に移してよかった。“ささやかわいい”は、世界を救うのかもしれない。これからもたくさんコミュニケーションをとっていきたいと、心の底から思った次第である。このエピソードにはなんと、わたくしの写真までついていた。

▲“ささやかわいい”エピソードをくれた友達が撮ってくれた写真です

今回の連載は、“ささやかわいい”をテーマにたくさんの話を盛り込ませていただいた。寒くなるこの季節に、みなさまの心をじんわりとあたためることができていたら光栄だ。しかし、次回の連載はもっと寒い時期に公開されると思うので、温度をあげていかなければならないかもしれない。松岡修造氏の画像を待ち受けにでもしたらよいだろうか。ユルいわたくしに、どうか熱い展開を期待しないでほしい。

毎度毎度、紹介させていただく本は、ぜひ機会があればお手に取っていただきたいものばかりだが、梶井基次郎の『檸檬』も何卒、配信でも是非話題にあげられたらとおもっている。

それではみなさま、体を冷やさないように暖かい格好でヌクヌクと、代謝もあげるなどしておすごしください。今回も最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。


プロフィール
 
小沼 綺音(こぬま あやね)
2000年3月18日生まれ。東京都出身。「小学生に間違えられる」という見た目とは裏腹にクールで大人びた視点を持つ。リアクションや言葉のチョイスが面白く、番組で共演する芸人からの評価も高い。『青春高校3年C組』では軽音部に所属し、キーボードを担当していた。Twitter(@ayane_karona_ru)