日本の政治家は日本を守る気はあるのか!?

加藤 小泉進次郎前環境大臣の発言からは、日本の製造業を盛り上げよう、日本のものづくりを応援しよう、日本のGDPをもっと上げていこう、という意欲や情熱が感じられないですよね。目指しているのは、世界の空気をきれいにすることという……。

岡崎 「自分たちが貧しくなってもいいから、世界のために……」というね。

加藤 そう「世界人類平和、地球のために……」と。

池田 これは、日本民族丸ごと世界の環境の犠牲になるという、ある意味“特攻精神”ですね。

加藤 何度も言いますが、中国のCO2排出量は世界の約30%、日本はわずか3%ですよ。3%の国で、それも環境において一番厳しく真面目に取り組んでいる日本で、今後ものづくりが続けられないなんて、まったく理不尽な話ですよ!

岡崎 その通りですね。大きな声では言えないけど、内心では「ちょっとおかしくないか?」と思っている人は多いと思います。

池田 このLCAというルールを持ち出してきたEUが、ゲームチェンジをたくらんでいるなかで、今後、日本はどう立ち振る舞うのかが問われていると思います。「自分たちだけがEV用のバッテリーを“きれい”に作れる方法」を編み出して「他の国を全部トラップに引っかけてやろう」と身勝手なルールを作り出したEUに対して、各国は今どうやって闘っていこうかと考えている。

その潮流のなかで、なぜか日本だけは「その通りです」「地球をきれいにしましょう」と、EUの言うことを聞く人たちが政治サイドにはいるんですよ。「そんな日本政府にはついていけない」「EUのいいなりにはなりたくない」と、日本の製造業の皆さんが大反対の声を上げているのに、政治家はまったく耳を貸す気がない……ということが最大の問題です。このEUのゲームチェンジプランを受けて、日本が今後どうしていくかは、実に政治手腕が問われる問題なのです。

加藤 日本の国をいかに守るのか、日本人の経済と暮らし、そして雇用をいかに守るのか……日本の政治家に最も欠けている問題意識です。

岡崎 いったいどういう精神構造をしているのか!

池田 きっと、ヨーロッパの人たちに褒められたいというメンタリティなんですよ。

加藤 国益を第一に、それこそジャパンファーストであってほしいですね。

池田 我々は別に「環境を無視しろ」と言っているわけではありません。ただ、向こうの表看板は「環境を良くしましょうね」であっても、裏には明らかに“ひっかけ”が潜んでいる。そんなこと、世界の人はお見通しなのに、日本だけがその表の看板だけを見ていてどうするんですか……ということです。

岡崎 日本の政治家たちが単に純真すぎるのか? それとも何かしらの意図があって、あえてそう振る舞っているのか? 向こうが勝手なルールを作ってきたのなら、せめてそれに対抗するルールを作って主張するぐらいのことはすべきです。

例えば、長野県や岐阜県、山梨県のような火力発電依存率が低い場所にある工場で生産される製品には、その地域のCO2排出量を適用させるとかね。EUのなかにあるスウェーデンで作った製品がクリーンなのであれば、日本のなかにある「長野県で作った製品もクリーンだ」という理屈は、ごくごく自然な主張でしょう。そのぐらいの主張をしないで、なにが政治家かと。

加藤 「EUの罠」「LCAというゲームチェンジ」が仕掛けられているなかで、日本の政治家は日本の国益のために戦う気があるのか?……国家の意志を問いたいですね。