妙齢のお姉さんの「串一本もらいますね」にズキュン!

▲防寒対策もバッチリ

しばらくしたら、もう一つの広い席が空いたので「よかったらこちらにどうぞ」と店員さんが勧めてくれます。ありがとうと言って席を移ると、そこは天国でした。なぜかといえば、目の前にストーブがある。私はこの場所をアリーナ席と呼ばせてもらうことにします。

▲アリーナから少し離れた作業台で肉の仕込みをする店主

私たちが店に入った頃にいた先客2人は、6時過ぎには帰ってしまいました。そこからしばらく客は私たちだけ。でも、ひっきりなしにテイクアウトの客がくるわけで、それと同時に大将の仕込みもどんどんペースアップしていきます。おそらく勤め人が帰宅する7時頃をピークに設定しているのでしょう。

▲焼酎はもちろん、日本酒もそろっています

途中で酒を切り替えて焼酎にします。グラスと一緒に、あとは勝手にやってくれといわんばかりに、焼酎の紙パックも手渡された。やはり外は寒いから、どうせならお湯割りがいいなと伝えると、そこのやかんからどうぞと言われる。

▲焼酎のお湯割りに切り替えます

店内をキョロキョロと見渡せば、ああ、ストーブの上に置いてありました。焼酎を注ぐのも割るのも、すべて自分。これはありきたりな言い方をすれば、大人のドリンクバーですね。

▲こうやって暖を取ることだってできる

聞けば56年前からお店をやっているそうで、この街に住む人の食卓に、しっかりと根付いているのがわかります。テイクアウトを山のように頼む子連れのお母さん、来客かしら、それとも食べ盛りの子どもがたくさんいるのかな。

妙齢のお姉さんが「串一本もらいますね」といって、100円玉をチャリンと置いて、串をその場で食べて、さっと去っていく様子はかっこよかったな。昔『スモーク』という映画があったけど、ここで定点観測したら良い映画が撮れそうだ。

▲どれをたべてもおいしいから目移りしちゃう

酒を4杯ほど飲んだところで私はソワソワ。というのも、カウンターに置いてある立派なチキンレッグが気になって「これを息子たちに食べさせたい」と思ってしまったんです。息子たちが起きてる時間に帰りたい、ということでお会計。お会計もやっぱり良心的でした。

テイクアウトを片手にフラフラ。上機嫌で帰宅する自分は、幼い頃に描いていた酔っ払いそのものなんでしょう。ああ、いい気分だ。手土産を持った酔っ払いは、きっと良い時間を過ごしてきたんですね。

楽しかったな。

世間は暗い話題ばかりだけど、私はこれからも、こういう素敵な店でお金を落とそうと思います。好景気は自分の足元から始めないと。

ということで、また次回。次はどこの街に行こうかしら。

『立ち飲み・マイ・ラブ♡ - 痛みに負けるな!-』は、次回2/4(金)更新予定です。お楽しみに!!

〈店舗情報〉
■鳥忠商店
住所:東京都品川区中延2-6-23
電話:03-3782-5438
営業時間:18:00~21:00
※新型コロナウイルス感染拡大により、営業時間・定休日が記載と異なる場合があります。来店前にご確認ください。