ファンとの約束が果たされた『BOLTSPRING 2022』

「ボルスプを来年以降も続けていきたい」「来年もボルスプでお会いしましょう!」

2021年4月18日。高井千帆は、そう言った。

ボルスプ、とは『BOLTSPRING』の略称。SPRINGには「春」の意味のほかに「バネのように弾ける」という意味もかかっている。ただただ元気で楽しい春らしいライブ、ということである。

1年前にこの発言を聞いたときには、ちょっと驚いた。この時点では、まだボルスプが春の定番コンサートになるとは決まっていなかったからだ。

これはアイドルに限った話ではないが、定番コンサートというものは、初回が好評だったから翌年も開催され、それも大盛況に終わったときに初めて「定番」になる。それを初回のステージ上で、いきなり「来年以降も続けていきたい」と宣言するのは、なかなかに異例なことである。いや、あれは宣言なんかじゃなかったのかもしれない。あの場にいたメンバーとファンのあいだで交わされた「約束」だったのだ。

そして、2022年4月9日。1年前の「約束」通り、BOLTSPRING  2022は無事に開催された。会場となった下北沢シャングリラは超満員。チケットは早々に完売したというから、いかに昨年のボルスプが楽しくて「また行きたい!」と思わせてくれるものだったかが証明されたことになる。

この日は最後列から観覧させていただいたのだが、そこから眺める超満員の客席は壮観だったし、なによりもたくさんのお客さんが昨年のボルスプTシャツを着用している姿が目についた。まるでTシャツを通じての「ゆびきりげんまん」。定番ライブを開催することで、こうやってファンとの思い出や物語はしっかりと紡がれていく。あと何年かしたら、いろんな開催年のボルスプTシャツで埋め尽くされるようになるのかもしれない。

ライブはオープニングから、まさに弾むような楽曲の連続。いきなり、こんなに攻めたセットリストで大丈夫? となってしまったが、じつはここが昨年のボルスプとの大きな違いだったのだ。

▲会場はオープニングから大盛り上がり!(撮影:笹森 健一)

この1年間でB.O.L.Tはシングル2枚、アルバム1枚をリリース。最初の3曲はまさにそのシングル曲、そしてアルバムのリード曲をメインとしたラインナップ(もう1曲はファーストシングルの『Don’t Blink』)。耳なじみのある楽曲を最初から畳みかけても、まだまだお客さんの心と体を弾ませる楽曲の数には余裕がある。

やはり定期的にリリースを続けることは大きな武器となる。この1年間の成長と充実ぶりが、冒頭の数十分だけでもしっかりと伝わってくる構成だった。