全てのアプリは自分を律するために生まれた

――子どもの頃はどんな性格だったんですか?

戸田 努力家でもなく、好きなこともたいしてやらない感じでした。

――エピソードは強めなのに! 意外です。

戸田 ただ一つあるのは、自分がそんなに立派な人間じゃなかったので、そういう人でも“どうにかなるアプリ”を作ろうとしていました。例えば、アプリ「継続する技術」の前提の前提として、人間はものすごく意志が弱い、意志の力で頑張ろうとしても絶対うまくいかない。少なくとも僕はそう思ってたので、どんなにダメな人間でも継続できるアプリを、ということで作り始めたのが「継続する技術」なんです。

――なるほど。

戸田 「集中」アプリも同じで、これは会社を辞めた直後に作ったんです。会社を辞めて上司がいなくなると、自分で自分を管理しなきゃいけない状況になりますよね。過去の経験から「このまま行くと絶対に堕落するな」って確信していたんです。自分が堕落しないで集中できるアプリがほしいって、それで作ったのが「集中」アプリです。

――今まで出してきたアプリは、全部ご自身の経験がきっかけなんでしょうか?

戸田 その通りです。「記録」も「睡眠」も「試行錯誤」も……。

――本当に全部そうなんですね!

戸田 はい。もともと僕は本をたくさん読むんですけど、昔に読んだすごくいい本を、もう一度読みたいなってときに、いい本だったことは覚えてるけど、どの本だったか覚えてないことがすごく多くなっていて……。ちゃんと覚えておきたいなって思ったところから「記録」は始まっていて。「試行錯誤」は自分への戒めですね(笑)、「睡眠」を作ったのも自分が寝られていなかったからですし……。

――こういうアプリって、思いつく人は多いと思うんですけど、どうやって他のアプリと差をつけているんですか?

戸田 やっぱり、データ分析の技術は明確に生きていますね。アプリが良くなった、という状態を数字で見ることができるんですよね。「継続する技術」でいえば、“30日間継続が成功した”っていう人が増えれば増えるほど、このアプリは良くなっていることになります。いろいろなことを試してこの数字が伸びるほど、このアプリは成長した、みたいな。

毎日腹筋を続ける人と平日だけ腹筋をする人。この場合、毎日腹筋をするほうが途中で挫折しにくい、というデータをユーザーの継続結果から得ているので、「平日だけ」と設定しようとしている人に「毎日やったほうが続きますよ」と提案することができるんです。

――データって想像以上に大事なんですね。

戸田 この技術はあんまり多くの企業でできることじゃないと思います。

――bondaviのアプリは、デザインのセンスもいいですよね!

戸田 最初は本当にひどかったんですよ。女の子が褒めてくれるアプリも、素人が作りました感が満載で。でも、会社員時代の先輩がとても優秀なデザイナーで、ずっと横で仕事を見ていたので「そうするとキレイになるんだ」って、すごく影響を受けました。

――使いたくなるのは見た目のおしゃれさにもあるんだと思います。

▲「集中」アプリの画面