ぶっちぎりの一位で優勝!

俺はモノマネを取り入れたコントで挑んだ。夜のショーパブは、登場の「イェーイ!」の掛け声でお客さんも盛り上がるが、ネタを見にきたお客さんは簡単に笑わない。

そして、日曜日の昼間という時間帯、あるいは俺たちの実力不足もあってか、ライブの空気はかなり重くて、どの芸人もさほどウケず凹んで帰ってくるばかりだった。

しかも、俺が出ていたコーナーは、ネタがスベるとマネージャーの判断で警告音が鳴らされ、照明がやや暗くなる。更にスベると再び音が鳴り、さらにスベると、照明は完全に落とされ「カンカンカン」の音で強制終了となる、血も涙もない形式だった。序盤から強制終了される芸人が続出して、場の空気は最悪だった。出し惜しみせず、序盤から全力投球してお客さんを温めないといけない。

俺は、生徒からモノマネを無茶ぶりされて振り回される先生のコントをやった。

序盤から客席からクスクス笑いが起き、手応えを感じた。そして、つかみのモノマネでドカンとウケる。そのあとも次々と笑いが起こり、最後までネタをやり切ることができた。司会からも「スゴい面白かったですね〜」と大絶賛された。

事務所ライブでは、出演者に順位をつけることが多い。エンディングで発表された結果では、ぶっちぎりで俺の優勝だった。R-1以降、テレビで売れることを目的としてネタを作り、それが見事に実を結んだのだ。きっと俺は天才なのだろうと思った。

翌月の事務所ライブも、葬式の喪主のネタでまたまたぶっちぎりで優勝。袖で見ていたゲストのオードリー若林も「TAIGAさん、メチャクチャ面白いですよ!」と大絶賛してくれた。俺は自分の才能が恐ろしかった。

気を良くした俺は、これらのネタを引っ提げて、いろんなライブにネタ見せに行くことになる。言葉は悪いが道場破りみたいなもんだ。自分の実力が知りたかったのだ。