ブッチャーブラザーズさんとの出会い

今や、お笑いファンのあいだですっかりお馴染みのK-PROライブなどは、この頃はまだなかった。その当時、関東で吉本の芸人以外が出るライブでは、「ラママ」「ビタミン寄席」「東京笑い者」の3つが人気だった。

この3つのライブに出れることがステータスで、ネクストブレイク芸人の候補者たちが、これらのライブでしのぎを削っていた。

俺は葬式の喪主のコントを手に、「ビタミン寄席」のネタ見せに行った。ライブに出れるかどうかのオーディションのようなものだ。

このライブを主催するのは、老舗芸能事務所に所属するベテラン芸人。ビルの一室で若手のネタを見ては、ああしたらどうだろう、もっとこうしたほうがいいのでは、とアドバイスをくれる。俺のネタを初めて見た二人の中年男性は、「面白いな〜!」と誉めてくれた。

「もう少し後半に展開があったほうがいいけど、うん。とても面白いよ」

そして結果は合格。関東三大ライブの1つに合格したのはうれしかった。迎えたライブ当日も、俺のコントはかなりウケて、客からの投票でも上位に入ることができた。ショーパブという狭い世界から少しだけ羽ばたけた気がした。

ライブが終わり外に出る。「面白かったよ! またいろんなネタ作って持ってきなよ!」と声をかけてくれたのは、ライブのネタ見せでも誉めてくれた、ブッチャーブラザーズさんだった。

十数年後、この二人のおかげでサンミュージック所属することになるとは、そのときの俺は想像もしなかった。

(構成:キンマサタカ)

『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回8/26(金)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする46歳。