若き日のぺこぱを支えてくれた同級生

7年ぶりの再会から数日後、そいつの家を訪れておどろいた。同級生は都内の一等地にそびえ立つタワーマンションに住んでいた。家に入ると広いリビングに横には、いくつも部屋があり、テーブルには大してやりもしないチェスが置いてあった。愛車は2台。1台はジャガーで、もう1台も高級車。まるで80年代のトレンディドラマのようじゃないか。

短大時代は肩を並べていたはずの2人だったが、気がついたら、とんでもなく人生の差がついてしまったことを感じた。

だが、昔話を始めると、時間を忘れて盛り上がる。そいつが俺の友人と揉めて学生寮に乗り込んだというエピソードや、俺が乗っていた紫のミラターボや、向こうが乗っていた茶色のクラウンワゴンの話は特に盛り上がった。

そして、彼がサラリーマンを辞めた経緯や、今の仕事でどうやって成功したかも聞いた。苦労もたくさんあったようで、素直にすごいと思った。同時に、彼は俺の選んだ道を、すごい世界で頑張っているんだなと応援してくれるようになった。

学生時代はあまり交わらなかった2人の人生だったが、その日から、彼は精力的に俺の活動を応援してくれた。

単独ライブをやるときは「チケット売れてる? 人集めようか?」と聞いてくれたし、芸人として背水の陣の覚悟で挑んだ毎月の新ネタライブも、「集客がしんどい」とこぼせば、「ネタに集中してくれ」とたくさんの客を連れてきてくれた。

俺が常に金に困っていることを知っていたから、会社の忘年会に仕事として呼んでくれて、ありがた過ぎるほどのギャラを払ってくれたりした。

この友人の会社の忘年会には、若き日のぺこぱも連れて行った。もちろんテレビなんか全く出たことのない2人だったが、俺の顔を立てて、彼らにもちゃんとしたギャラを払ってくれた。

自分が曲りなりにも芸人を続けられているのは、彼のように支えてくれた人がいたからだ。みんなに恩返しをするためにも、売れなくてはいけない。売れることが最大の恩返しなのだと、改めて思う。

(構成:キンマサタカ)

『TAIGA晩成 ~史上初! 売れてない芸人自伝~』は、次回9/2(金)更新予定です。お楽しみに!!


プロフィール
TAIGA(たいが)
1975年生まれ。神奈川県出身。2005年『細かすぎて伝わらないモノマネ選手権』(フジテレビ)、2009年『爆笑レッドカーペット』(フジテレビ)、2009年の『あらびき団』(TBS)、2014年の『R-1』決勝進出でプチブレイク。下積み時代が続く中、2020年の『オードリーさん、ぜひ会ってほしい人がいるんです。』(中京テレビ)、2021年の『アメトーーク!』(テレビ朝日)出演で再ブレイクの予感がする46歳。