スポンサーが存在しないから自由に話せる

桃井 番組を2年続けていて、長所だと思うのが機動力と、取り扱える話題の広さですね。エモエモ90'sはアニメ以外にも野球、競馬、パチンコ、さまざまな話題が出てくる番組です。スポンサーがいる番組だったら難しいだろうけど。

――スポンサーが付く番組だと、トークテーマに制限がかかりますよね。

桃井 スポンサーから「ゲームの宣伝のラジオ」とかテーマが与えられていると、趣旨から外れた雑談部分は、放送時に使われないことは多々あります。そこの雑談部分が本当はすごく面白かったりするのに(笑)。エモエモ90’sではカットしないで済むよね。

――AIに絵を描いてもらうミッドジャーニーを試すのも、スポンサーがついてたら制約があって実現できなかったでしょうね。

▲実際にエモエモ90'sの番組内でミッドジャーニーに描いてもらった絵

榎本 他にもスケジュールが詰まっているとき、気軽に番組を休めるのもいいと思う。

――スポンサーが付いている番組だと気軽に休めませんよね。エモエモ90'sはグッズを展開して、YouTube以外からの収益体制を確立していますしね。

榎本 オリジナルグッズを手軽に作成・販売ができるSUZURI(スズリ)さんを活用して展開しています。在庫リスクを抱えなくていいので助かります。サンプルで何個か作りましたが、印刷もすごく綺麗でした。

――SUZURIは、どちらが見つけられたんですか?

榎本 私です。グッズを作る方法を調べていたとき、YouTuberの方々がSUZURIさんを使っていたので知りました。

――デザインは桃井さんでしたよね。

桃井 エモエモ90’sのサムネイルを毎週作っていたので、その流れで。それをみんなが買ってくれて、「可愛い」って言ってくれて楽しくなりました(笑)。

可視化されたリスナー同士のつながり

――エモエモ90’sでは、番組の切り抜きを許可してYouTubeに投稿することを許可していますよね

榎本 切り抜きを許可できたのはすごいと思う。今はもう切り抜きをうまく使う時代だと思うし。

――たしかにファンが作った切り抜きから、もともとの配信者を知るケースが増えましたよね。

榎本 声優さんは事務所との兼ね合いもあって、なかなか切り抜きを許可できる人は出てきにくいと思うけど。

桃井 最初は「できるの?」と思いました。動画から切り抜くためには技術も必要だし、何よりも熱意が求められるじゃないですか。放送時間も長いから、切り抜く場所を探すのも大変だし。だけど、実際にリスナーさんが作ってくれた切り抜きを見てみたら、完成度が高くて驚きました! ちゃんとオープニングやエンディングがついていたり! 秀逸なタイトルをつけてくれていたり驚いてます。

――リスナーさんたちの熱意がすごいですよね。

榎本 「ここが好きだったんだ」とか「こんなテロップしてくれるんだ」っていう、愛にあふれた作品ですよね。私たち自身も切り抜きを許可したことで、新たな発見がありました。

――潜在的にリスナーさんたちもYouTubeに動画を投稿してみたかったのかも?

榎本 私たちが素材を提供することができて、ニーズが合致したのかもしれません。切り抜きを見ていると、90年代に自分の好きな曲をカセットテープに入れているのに近い感覚を感じています。

桃井 切り抜き以外にも、リスナーさんたちの交流もすごいよね。エモエモ90’sの2周年を記念してリスナーさんたちが競馬の冠レースをしてくれましたし。横のつながりだよね。

榎本 90年代は、ラジオを聞いてるだけでリスナーさんたちがつながっているように感じました。エモエモ90’sでは、リスナーさんたちでクラブ活動したり、横のつながりの可視化ができていると思います。

――インターネットで人と人がつながりやすくなった好例ですね。