“野球の華”といえば、ホームランを思い浮かべる人が多いのではないだろうか。球場の雰囲気を一気に盛り上げて、興奮の渦を巻き起こすホームランは、野球の代名詞といっても過言ではないだろう。

今回は、そんなホームランを放つ選手たちにスポットライトを当てる。これまでの成績を振り返りながら21世紀最強のスラッガーを見ていこう。

メジャーの舞台で本塁打王争いを演じた大谷翔平

まずは2021年にメジャーリーグで本塁打王争いをした大谷翔平だ。二刀流ではあるが、メジャーで本塁打王争いをしたこの選手は外せないだろう。

2021年の打撃成績は打率.257、46本塁打、100打点、OPS.965、26盗塁を記録。40本塁打以上は松井秀喜の成績を塗り替えて日本人初である。さらに、この年の本塁打率はア・リーグ1位となる11.7を記録。二刀流でこの成績を残したことから、文句なしのアメリカンリーグMVPに輝いた。これも新人王と同様に、イチロー以来であった。

翌年の2022年シーズンでは、前年ほどのホームラン数ではないものの、打率.273、34本塁打、95打点、OPS.875を記録。2年連続で30本塁打以上は史上初の快挙だ。

二刀流以外で他の選手と大きく異なる点は、20盗塁以上を決めていること。走塁の部分での貢献度が高いこともあり、打撃3部門の成績以上に活躍していると言ってもいいだろう。

大谷の場合は、投手としても出場をしながら、日本人としてトップクラスの打撃成績を残しているため、来シーズン以降も新たな記録の更新やタイトル獲得に期待していきたい。

メジャーで日本人初の30本塁打を記録した松井秀喜

メジャーで30本塁打を記録し、21世紀最初の巨人軍4番打者の松井秀喜も外せない。

ヤンキース移籍前の巨人時代晩年は、打撃3部門上位に常に名前を並べた。4番に固定された26歳(2000年)からの3シーズンは必ず打撃タイトルを獲得しており、三冠王に最も近い選手でもあった。オールスターでは松坂大輔から本塁打を放ち、シーズン50号も記録している。速球派にも強く、日本人選手かつ生え抜きのスター性も含め、4番打者らしいバッターだった。

NPB最後のシーズンでは、三冠王を狙える位置にいた。最終的には、打率や本塁打、出塁率ではキャリアハイを記録。文句なしの成績を残した。長打率は.692を記録しており、当時は間違いなく日本人最高のスラッガーだっただろう。

メジャー移籍後は、外角のボールに苦しみ、セカンドゴロを量産してしまう悪循環に陥り、本塁打も16本と苦戦した。しかし対応力の高さも見せており、2004年のシーズンでは打率.298、31本塁打、108打点、OPS.912を記録。翌年も本塁打は減少したものの、打率.305と116打点はメジャーでキャリアハイを残した。

ポストシーズンでも勝負強さを見せており、2009年は打率.349、4本塁打、13打点を記録して、ワールドシリーズMVPを獲得した。本塁打率を見ると、日米通算で17.77、巨人時代のみだと13.77を記録。本塁打数に関しては、日米通算507本塁打を記録している。

ヤンキースの4番としても出場していたことから、大谷が出てくるまでは、間違いなくメジャーでも通用したスラッガーとしては、一番だったのではないだろうか。

▲ヤンキース×オリオールズ戦での松井秀喜(2009) 写真:Thomas Anderson/アフロ