リーグワーストの敗戦数を記録した田中将大

1988年世代の実績から見ると、最高の投手といえば田中将大だろう。昨シーズンから日本球界に復帰したが、残念ながら2年連続で勝利数よりも敗戦数が上回る結果になった。今シーズンは12敗とリーグワーストの敗戦数。この成績は、2013年までの田中では考えられない結果だろう。

日本球界に復帰する前の時点で、代名詞であるスプリットの質が下降気味だったが、それでも田中の投球術には素晴らしいものがあった。2013年までに見られた、力でも押せるピッチングこそ難しいかもしれないが、彼自身が持っている球種をうまく操る能力や、それを最大限に活かすクレバーさが見受けられた。

球速の数値上は問題なさそうだが、全盛期ほどの球威や強度がないため、悪くいえば小手先でかわしてまとめるピッチングが目立っている。そのため、シーズン序盤こそ抑えられるものの、打者の調子が上がってくる時期になると、打ち込まれる場面が見受けられた。また、打者のレベルが水準以上に達すると、東京五輪のように打ち込まれる場面も多々見られた。

キャリアでの日米通算200勝は、高い確率で達成される見込みではあるが、かつて日本球界に復帰して広島を優勝に導いた黒田博樹のような、チームを奮起させる雰囲気は感じられないままだ。田中自身、かつては本調子ではなくても、チームを乗らせるような形で勝利を引き寄せるピッチングをしていたが、それも日本復帰後はなくなってしまった。そのため、実力や精神的支柱としての面から見ても、現状では来春行われるWBC日本代表への選出も難しいだろう。

▲2020東京五輪での田中将大 写真:西村尚己/アフロスポーツ

1988年世代で苦しんだ選手たち

今シーズンは、田中以外にも多くの選手が苦しんだ。

広島の會澤翼は、打率.207、3本塁打、33打点の結果はレギュラー定着後、ワーストの記録。この結果を見ると、衰えが見え始めたシーズンだったと言わざるをえない。守備の面を見ても、シーズン序盤はほとんどフリーパス状態だったため、来期以降も正捕手にしていくとなると不安が残る。今シーズンで3年契約が終わるが、来シーズンは非常に厳しい争いになるだろう。

打力がある坂倉将吾の捕手一本化の再挑戦や、石原貴規が来シーズン一気に飛躍するとなると、會澤はレギュラーとして不動の位置にいられるとは言い難い状況になるだろう。

巨人の梶谷隆幸は、話にならないぐらいの結果に終わった。2021年シーズンは前半戦の活躍が目立ったなかで、懸念されていた怪我しがちな面が大きな影響を及ぼした。調整は順調と見られていたが、左膝内側半月板の縫合手術を受けたため、今シーズンの復帰は絶望的となり、結局1試合も出場しないままシーズンを終えた。プロ野球選手に怪我はつきものではあるが、野手で全休となると契約に関しても見直していくべきだろう。