日米でヒットを積み重ねる青木宣親
次は青木宣親だ。NPB史上唯一の2度の200本安打と3度の首位打者を獲得。21世紀以降で首位打者を3度獲得した選手は青木のみ。
また、赤星憲広の盗塁王を阻止したのも青木で、全盛期は足でも活躍を見せた。さらに、この青木もイチローと同様にベースとなるパワーは兼ね備えており、NPB時代には20本塁打(2007年)、メジャー時代には10本塁打(2012年)を記録している。
国際大会でも、北京五輪では低迷した野手陣のなかで奮起し、2009WBCではベストナインを獲得する活躍で2連覇に貢献した一方、2009年はキャリアで一番苦しんだシーズンになった。
WBC出場のため、早い段階での調整や他国の投手のフォームの違いなどもあり、前半戦はまさかの打率.249と低迷。しかし後半戦からは、本来の打撃を取り戻して驚異の復活を遂げる。最終的には、3割を超える成績を残した。
メジャーリーグに移籍した際は、日本人野手の苦戦が続いた影響もあり、まさかのテスト入団。メジャーではシーズン3割こそなかったものの、通算で打率.285を記録した。
日本球界復帰後は、2020年にキャリア最高の長打率.557を記録。3割も2度記録するなどの活躍を見せている。
右打者最高打率を残す内川聖一
最後は内川聖一だ。この内川は遅咲きの部類かもしれない。若手の頃にイップスになり、苦しんでいたなかで8年目にシーズン右打者最高打率となる.378を記録。
前年にブレイクの兆しはあったものの、本格的に開花した打撃は、このシーズンから球界の安打製造機となる。ここから7年連続打率3割を達成し、通算で8回の打率3割を記録する。この内川もヒットメーカーのイメージは強いが、ベースとなる長打力を兼ね備えており、自己最高は19本塁打(2013年)を記録している。
WBCの大会序盤は、前年の対左へのシーズン打率.439を買われて、相手の先発投手が左投手の試合での起用が多かった。決勝戦はフル出場を果たし、イチローの決勝タイムリーでホームを踏んだ。
ソフトバンクに移籍後には、新しい環境でありながら、統一球元年のシーズンで史上2人目の両リーグ首位打者を獲得。その年のクライマックスシリーズでMVPを獲得してからは、クライマックスシリーズでは3度、日本シリーズでは1度のMVP、優秀選手を獲得するなど短期決戦の強さを発揮。
3大会にわたり出場したWBCも全て打率3割以上を記録。まさに職人芸のような活躍を見せてくれた。
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日本のアベレージヒッター3名をピックアップしてみた。
日本とアメリカで圧倒的な実力を見せてきたイチローが、現状では21世紀最強のアベレージヒッターであることは間違いない。シーズン最多安打はもちろん、WBCでの鬼気迫る表情など、記録と記憶、両方で名を残す選手だ。
また、いまなおヤクルトの一員としてプレーを続ける青木宣親。21世紀以降、首位打者を3度獲得した選手は青木のみという点からも、ハイレベルなアベレージヒッターということがわかる。高津監督率いるチームで、2023年シーズンもヒットを積み重ねる姿を見せてほしい。
右打者としての最高打率.378という素晴らしい成績を残した内川聖一。短期決戦での勝負強い打撃は、印象に残っている人も多いはず。2023年シーズンはプロ野球独立リーグ・九州アジアリーグに属する大分B-リングスでプレーする。これまでの経験を若手に還元していくのではないだろうか。