失敗しても3人はとにかく褒めてくれる

――しかし、復帰一発目のライブでは、思うようにネタができず落ち込んでしまったそうで……。そのときのエピソードが『ぼる塾生活』に詳しく書かれていますね。

酒寄 そうなんです。私自身、せっかく復帰するなら「3人よりも4人のほうが面白い」と思われなきゃいけない、そうならないと終わるって、変に気合が入っていたところがあって。お休みしていたとはいえ、芸歴的にはあんりちゃん、はるちゃんよりも長いわけだし、先輩としてうまくやらないとっていうプレッシャーも大きかったんです。本当に、いま考えると恥ずかしい話なんですけど(笑)。

でも、いざ神保町劇場の舞台に立ってみると、全くと言っていいほど役に立たないし、自分が思っていたよりも遥かに下手になっていました。単独ライブのときは、ぼる塾ファンっていう絶対的な味方だけが目の前にいるとわかっていたから伸び伸びできていただけであって、初見のお客さんがいると私ってこんなに何もできないんだって、強く実感したんですよ。

そのうえ、私のせいで他の3人のテンポも普段より悪くなってしまって……「何を勘違いしていたんだろう」って情けなくなってしまったんですよね。舞台からはけたあと、思わず泣いてしまって。

でも3人は、まず「4人でできたことが本当にうれしい」ということを、とにかく伝えてくれました。それから「酒寄さんだけじゃなく、私たちも“4人のぼる塾”のスタート地点に立ったんだ」と言ってくれたんです。それを聞いてハッとしたんですよね。私はてっきり、だいぶ前を走っている3人に追いつかないといけないって思い込んでいたんです。でもそうか、この人たちは私の隣にいてくれているんだと。

しかも「酒寄さんが私たちよりも遅れているように感じて焦っているのであれば、私たちを利用してほしい。酒寄さんが休んでいるあいだに私たちは力をつけてきたから、そのぶん頼りになるはず」って。

――すごくカッコいいですね。

酒寄 すみません、私が言うと仰々しく聞こえてしまうかもしれないんですけど……。そういうことを3人は、クッキーとか食べながら、さり気なく言うんです(笑)。

▲きりやはるか撮影/本書の「はるちゃんアルバム」より

――酒寄さんが劇場に復帰されたことについては、ぼる塾のYouTubeチャンネルにアップされた動画で、田辺さんとあんりさんもお話されていました。お二人によれば「酒寄さんが劇場に復帰してよかった」「3人で活動していたときより、ネタの改善点を指摘するほうも、されるほうも気が楽になった」と。

〇【爆モン】「推し」と「好き」を定義しないで。【真剣トーク】

酒寄 恥ずかしいです(笑)。とにかく皆、褒めてくれるんですよ。自分としては何気なくしていたことを、ちゃんと言葉にして感謝してくれるというか。そういうことに、すごく救われます。

――ぼる塾の皆さんって、いつも互いへの感謝や愛情をストレートに伝えていますよね。

酒寄 できないことを指摘するのって、簡単だと思うんですよ。でも、できることを言葉にするのって、その人自身をちゃんと見ていないとできないことだと思うので、難しいんですよね。

私は、自分のできないことばかり見つけてしまうので、そのなかで「酒寄さんはこういうところができていますよ」って教えてくれる人たちがそばにいてくれて、とてもありがたいです。