しんぼるへの嫉妬…その間違いに気づく
――酒寄さんが劇場に復帰されたことをはじめ、ぼる塾に起こった変化は、今作『ぼる塾生活』の内容にも表れているように思います。特に、あんりさん、はるかさんのお二人に対する気持ちが、前作よりもオープンに綴られているような気がしました。
酒寄 大の大人が恥ずかしいんですけど、実は最近まで、しんぼるの二人(あんり・きりやはるか)に田辺さんを取られちゃったような気持ちがあったんです。でも二人は「私たちは、田辺さんと酒寄さんの相方だ」と思って優しく歩み寄り続けてくれていたことにようやく気づけて……「私は何をやっていたんだ」と。
――お二人の気持ちは田辺さんに対してだけではなく、自分にも向けられていたんだ、と。それに気づいたのは、どのタイミングだったのですか。
酒寄 一緒に過ごす時間が長くなっていって、最初は遠慮がちだったはるちゃんがふざけるようになってくれて、それに対して私も普通にツッコめるようになっていって……そうやって徐々に、という感じですね。前は、はるちゃんのボケにどう返していいのか戸惑っていたときもあったのですが、私のリアクションに関係なく、はるちゃんが「私は気にせずいきますよ!」ってガンガンぶつかってくれるようになったことが大きかったです。
あんりちゃんとは、ぼる塾の結成当初から一緒にネタ作りをしてきたので、そのなかで信頼関係ができていったと思います。私はネタ作りのとき、相手に自分の脳みそを全部見せているような気持ちで臨んでいるので、あんりちゃんが「それってこういうことですよね?」ってすぐに意図を汲み取ってくれたりして、どんどんと心を通わせるようになっていきました。
――最近では、はるかさんがネタ作りに携わるようになったんですよね。
酒寄 はい。あんりちゃんと私、はるちゃんと私という体制で作るようになりました。あんりちゃんとはるちゃんは、それぞれネタ作りのやり方が全然違うんです。あんりちゃんとは「こういうボケを展開したい」「じゃあ、こうやって進めていこう」という感じで話し合っているんですけど、はるちゃんの場合は「まず、私たち4人がペンションに集められるんです! それから、どうなると思いますか?」と急に聞かれるんですね(笑)。
なので、あんりちゃんとは一緒に肉付けをしていく感覚なんですけど、はるちゃんとは「じゃあ、そのペンションに集められた人たちの職業は何かな?」とインタビューしながら、情報を整理していく方法を取っています。
――誰と一緒に作るかで、酒寄さんの役割が変わってくる。
酒寄 はい。それがすごく面白くて、楽しいですね。私はネタ作りが大好きなので、はるちゃんがネタ作りに関わってくれるようになったことで、さらに仲良くなれた気がしてうれしいです。
――年齢を重ねるにつれて、“変わること”に恐怖心を募らせる人って少なくないのではないかと思うのですが、ぼる塾の皆さんは変化を恐れるどころか、それを迎え入れてパワーアップしているところが魅力的だなと感じます。
酒寄 私自身はもともと、変化することをすごく怖がるタイプなんです。でも、田辺さんって27歳で突然ギャルデビューして、37歳には“スイーツ女王”になって「常に今が一番楽しい。私はこれからも変わり続けるよ」と言っているんですよ。
そういう人を間近で見ていると、変化することが怖くなくなってくるし、むしろ前向きに捉えられるようになってきて。なので、皆さんにも「あの人たちって、なんだかんだあっても楽しそうだから、私も大丈夫かも」と思ってもらえるような、そんなぼる塾であり続けたいですね。