タイアップは自分たちにとってプラスなこと
――どのようなイメージで収録曲を選んでいきましたか?
かわむら これは単純にできた順ですね。これ以外にも過去に作っていた曲はあったんですけど、「この曲入れる? どうする?」みたいな議論はあんまりなかったかもしれないです。「不登校少年少女のエチュード」は5~6年前の曲なんですけど、これも入れる曲がないからという理由ではなくて、これまで一度もリリースしていなかったので入れようとなった感じですね。
かめがい 今だから入れられる曲だよね。
かわむら このタイミングで、ようやく入れようってなったよね。他の曲についても制作中にアルバムに入れる前提で制作して出来上がって、当然入れることになったみたいな感じでした。だから最後のレコーディングの1週間前まで曲を作っていましたね。「衛生十七号」という曲は最後にできたんですけど、歌詞できたのはレコーディングの1週間前だったし。
かめがい そうだったね。
かわむら 風呂で考えていた思い出があります。
かめがい レコーディングの前の日に初めて歌ったみたいな感じだったと思う。
――後付けになってしまうかもしれないですけど、「不登校少年少女のエチュード」は、二人が今歌うからこそ説得力があるなと思いました。
かわむら 昔だと、ちょっとフックを引っかけにいったみたいな感じで取られちゃうかもしれないんですけど、自分たちの思想をしっかりと見せてきたうえで、こういうストーリーの作品を入れるというのは美しいことだなと思ったんです。
――「ローリンソウル・ハッピーデイズ」はTVアニメ『農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。』のエンディングテーマに抜擢されていますよね。どのようなイメージで作り上げたのでしょうか?
かわむら 作る段階でタイアップすることが決定した曲だったので、書き下ろした形になります。タイアップすると表現に制限がかかると思う方もいると思うんですけど、少なくとも我々は、いろんな人の強い思いが前提となっているプロジェクトと一緒にやれる、そのことが自分たちにプラスなことだと思っていて。
『農民関連のスキルばっか上げてたら何故か強くなった。』に関しても、自分たちの音楽の強みがアニメの一部になるとしたら、どういった位置付けだったら、アニメを見た人や自分たちの音楽を聴いた人がすごく気持ち良くなれるのか。そういうことを考えたときに、とにかく前向きな曲にしようと決めました。
でも、ただ前向きという作品でもないですし、我々の精神性もアニメに合わせていくのも違うなと思ったので、我々が一番尖った曲を作ろうと思って完成した曲。今までにない引き出しを開けさせてもらったので、すごくよかったと思っています。
――それこそ「ローリンソウル・ハッピーデイズ」を始め、「月の踊り子」「UFOを呼ぶダンス」「メデューサ」などのタイアップ曲が多数収録されています。タイアップ曲は制作の過程が異なるのでしょうか?
かわむら 「ローリンソールハッピーデイズ」と「月の踊り子」は書き下ろした曲なので、いつもとは違います。ただ、例えば「月の踊り子」は『みんなのうた』のために作った曲なので、子どものために作るのはもちろんのこと、それを聴いたお父さんやお母さんにもどうやって映るのかを考えるプロセスはあるんですね。でも、それって他の曲でも最終的なところではやっていることなんですよ。
――なるほど、たしかにそうですね。個人的には「メデューサ」がイントロ、Aメロ、サビと目まぐるしくサウンドが変化していくのが印象的で、すごく引き込まれるような曲だったのですが、どういう意図で作り上げたのでしょうか?
かわむら 頭の中で練りに練った曲みたいな感じで取られることが多いんですけど、我々はライブのことを考えていて、たくさんのお客さんと自分たちを包むような曲を作りたいと思ってできた曲なんです。
AメロやBメロに関しても目まぐるしくって言っていただけるんですけど、我々はすごくオーソドックスに作ったつもりなんですよね。目まぐるしく展開する曲を作ろうという感じではなく、サビに向かってしっかりと段階を踏んで、みんなで一体となって、蛇になった髪の毛を振り乱すというイメージで作った曲ですね。
――今後の展望について聞かせてください。
かめがい メジャーデビューしたから、きっと会社がプッシュしてくれると思うんです。
かわむら そのはずなんだけどね、そう信じてる。
かめがい 大きな予算をかけてMV撮影するとかね。
――夢がありますね(笑)。
かめがい メジャーデビューという素敵な王冠をいただいたので、今まで届かなかった人にも届くように頑張りたいですし、今までポップしなないでの曲を聴いてくれて、ずっと楽しみにしてくれていた人たちにも少し広がった世界を見せていきたいです。
かわむら メジャーだから大きく変わる、ということはないとはわかっているのですが、この機会をポジティブに捉えていきたいですし、我々の任務はメジャーデビューってダサいことではないんだよ、ということを伝えていくことだと思っているんです。あとは個人の欲望なのですが、その恵まれた環境を生かして、少しでも多くの仲間というか、同じ志を持った人たちとコミュニケーションができれば、音楽をやっていてよかったと思えるんじゃないかなと思います。
ミュージシャンに聞く「こだわりメシ」
――ライブ前に必ず食べるものとか、いまハマっているものとか、「こだわりメシ」を教えてください。
かわむら ライブの日は必ず気合いの入ったご飯を食べます。その土地にしかないものだとなおよしで、特にお肉だとかなりパワーが出ます。
かめがい わたしはたくさん食べると歌えなくなるので、モリモリ食べるかわむらくんがいつも恨めしいです。
『暴露』
2023年7月12日(水)
人間のどこを切り取ってエンタメにするのもされるのも良いんでしょうけど、
「そもそも人間ってもっと面白いでしょ」という人間讃歌
日本コロムビア公式サイト
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