世界レベルの選手を近くで見られる日本プロ野球

――自分の原稿・記事の強み、長所ってなんだとお考えでしょうか?

ゴジキ 野球というジャンルのなかでも、幅広く書けるのは強みだと思っています。活動初期のイメージって「巨人のことだけ書いている人でしょ?」って感じだったと思うんです。光文社さんで「ゴジキの巨人軍解体新書」を連載していたので、その認識で間違ってはいないんですけど。

 ただ、最近ではプロ野球・高校野球・メジャーリーグなど……連載や書籍を読んでもらっている人には、いろんなことを書いてる人だなっていうのは、なんとなく認識してもらえているのではないでしょうか。

――逆に、もうちょっと伸ばしていけるかなと思っているところはありますか?

ゴジキ 自分の知らない時代のことも勉強していけたら、もっと幅を広げられるんじゃないかなと思っています。昔の映像もYouTubeで検索したら出てくる時代ですし。

――日本プロ野球・高校野球・メジャーリーグ、それぞれでゴジキさんが「いいな」と思うところを教えてください。

ゴジキ メジャーリーグのいいなと思っている部分は「応援」です。メジャーリーグって応援するときに音の出る道具とか使わないんですよ。自分たちの声、声援のみなんです。だから、打球音とかも聞こえます。本当に観客は“ベースボールそのもの”を見に来ているんだなと感じます。選手のパフォーマンス面ですと、とんでもない球速を出す投手がいたり、球場を飛び越えるようなホームランを打つ打者がいたり、スケールの大きさは魅力ですよね。

――体の大きさも違いますもんね。日本プロ野球はどうでしょうか?

ゴジキ 日本のプロ野球は、シンプルに世界から見てもレベルが高いと思うんです。今年開催されたWBCで優勝したことからもわかるように、世界レベルの選手たちを間近で見られるというのはすごく幸せだなって思います。山本由伸投手(オリックス・バファローズ)や佐々木朗希投手(千葉ロッテマリーンズ)なんて、世界を驚かせるようなレベルの選手ですから。

先ほどお話した大谷選手のバッティング練習も、日本でプレーしているときを知っているからこそ、進化しているのを感じられますし。良い面と悪い面どちらもあると思いますが、高卒や大卒で即メジャーに行く選手って、ほとんどいないじゃないですか。世界に羽ばたく選手の若かりし頃の姿を見られるというのは、ありがたいことです。

――成長過程を見られるという楽しさがありますね。では、高校野球はどうでしょう?

ゴジキ 高校野球の面白いところは、本命といわれる高校が予選から甲子園まで順当に勝つとは限らないところですかね。勝って当たり前と思われている高校ってあるじゃないですか。例えば、大阪桐蔭高校など。そういう高校と戦うとき、甲子園では対戦相手のチームが応援されることって多いと思うんです。日本人特有なんでしょうかね? 昨年夏や今年春のセンバツように、雰囲気に飲まれてしまって、終盤に逆転を許してしまうっていうことがあります。

プロ野球は応援するチームが決まっている方が多いと思いますが、高校野球は関係者じゃないとそこまで贔屓のチームってないと思うんです。そういう方たちが、負けている、劣勢に立たされているチームを応援し始めると、雰囲気が変わることがあるんですよ。

やっぱり学生さんなので、プレーがメンタルに左右されると思うんです。特に聖地・甲子園では、その傾向が顕著に出ますね。だからこそ、国体とか明治神宮大会とか、夏の甲子園大会以外を見ると、また違った面白さもあります。それが高校野球の魅力かなって思います。

あとは、メディアがスターや旋風を作るのも高校野球の特徴ですよね。パッと名前が出てくるのは、早稲田実業の斎藤佑樹さん(元北海道日本ハムファイターズ)、がばい旋風の佐賀北高校、金足農業高校の吉田輝星投手(現北海道日本ハムファイターズ)などでしょうか。観客、マスコミ、視聴者……すべての人が高校野球を作り上げている感じがします。

2冊で合計1000ページ越えの書籍を7月に発売

 ありがとうございます。7月に刊行される『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)、について聞かせてください。それぞれ、どういった内容になっていますか?

ゴジキ 『戦略で読む高校野球』は、これまで世に出ている高校野球本のなかでも、おそらく一番データ要素や分析要素が多いかなと思っています。2000年以降の内容にはなってしまいますが、優勝校の傾向だったり、先ほどお話させていただいた顕在化されづらい応援・声援の有無がこれだけ勝敗に影響します、といったような内容も含んでいます。イラストなども入れているので、わかりやすく高校野球のことを知ってもらえるかなと思います。

▲『戦略で読む高校野球』 (集英社) は7月14日発売

『21世紀プロ野球戦術大全』は、2000年~2020年代で優勝したプロ野球チーム全部のデータを、イラストや図なども盛り込んで書かせていただきました。

それにプラスとして、国際大会のことも載っています。初のオールプロで挑んだ2004年アテネ五輪から今年のWBCまで掲載しています。こちらの本は総ページ数800ページ越え。おそらく、日本にある野球の本で一番分厚くデータも入っている本になっているのではないでしょうか。

――800ページ越えですか!? この本を読めば、21世紀のプロ野球・国際大会のことがわかるということですね。

ゴジキ そうですね。そういう思いで制作を進めたら、すごいページ数になりました(笑)。あと、2冊ともこだわった点として、メンバーの成績やポジションの図も入れたことです。サッカーの本って、よくフォーメーション図が書かれていると思うのですが、野球の本で書かれているものはほとんど無いんですよね。まあ、野球はポジションが固定されているからなのですが。

ただ、各選手守れるポジションは1つじゃないわけですよ。例えば、大阪桐蔭高校時代の根尾昂選手(現中日ドラゴンズ)は、投手と遊撃手をしていましたが、根尾選手がマウンドに上がると、大阪桐蔭はポジションが大きく変えていました。三塁手遊撃手に入る、一塁手が三塁手に入るなど……といった細かいところまで本に落とし込みました。

▲『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)は7月24日発売

――発売日が楽しみです。最後に、今後の活動について考えていることを教えてください。

ゴジキ 野球の仕事はやらせていただける限り、引き続きやっていきたいです。そして、野球の仕事で身につけた知識で、別の分野の仕事にも挑戦していきたいと思っています。まだぼんやりとした話なので詳しくは言えませんが、皆さんにご報告できるように、自分自身さらに成長していけるように精進していきます。


プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
野球著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』、『坂本勇人論』(いずれもインプレスICE新書)、『アンチデータベースボール』(カンゼン)を出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディア取材多数。最新作は『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)。Twitter:@godziki_55