JCAで見つけた最高の相方
――お二人が養成所に入ったのはコロナ禍で、Zoomの自己紹介で知り合ってコンビ組むことになったってお聞きしたんですけど。
山田 コロナ禍じゃなければ、相方探しのイベントがあったらしいんですけど、それもなくて、しかも入学も1ヶ月遅れたんです。だから焦ってて、“この期間中に見つけないと!”と思っていたから、たくさん自己紹介を見たんです。そこで内田さんを見つけて、いいなと思ったので組みました。
――それは内田さんのどんなところですか?
山田 ……奥行き? 画面の奥行きかな?
内田 特殊なパソコン使っていたの?(笑)
山田 なんだろう……でも、すごく余裕のある感じがして。本当に直感で“この人と漫才する!”と思ったから誘いました。
――内田さんから見た山田さんはどうですか? ほかのインタビューでもおっしゃってた「名前にそれぞれ色が入ってるから(内田紅多・山田蒼士朗)」という、山田さんの誘い方がとてもオシャレだなと思ったんですけど。
内田 私は芸名でどうにでもなるじゃんと思ったんですよね、“なに言ってんだろ…?”っていう感じ(笑)。しかも、そのメールが来るまで山田くんのことを知らなかったんです。誘われたので山田くんの自己紹介動画を見たら、山田くんのZOOMの電波が悪すぎて、とぎれとぎれの音声になっていたんです。
講師の方が「全然わかんないから好きな芸人だけ教えて」と言ったら、ノートに「天竺鼠」って書いて終わってたんです。だから余計に“この人なんなの?”と思ったんですけど、2回目の自己紹介の動画を見たら大丈夫でした。
山田 携帯のスペックがズームに対応してなくて、スマホを変えたんです。
内田 2回目も自己紹介みたいな感じで、芸人以外だったら何をしていたかの話になったとき「カウンセラー」と言っていたのを聞いて、私も人の話を聞くのが好きだったから“すごい似てるかも”と思ったんです。1回目はわかんなかったけど、こんな穏やかな人だったんだなぁと。で、実際に山田くんと組んだら、“これは最高だな、もう解散しないだろう”と思いました。
山田 ありがとうね。
内田 どういたしまして。最近は山田くんの方針で「感謝をしっかり口にする」というのがあるんです。
――すごくいいことですよ。
山田 3年目に入っての方針です。
――お二人の話を聞いていて思うのが、お互いの話を最後までしっかり聞くじゃないですか。そういう会話の仕方が、すごく心地がいいなって。
内田 山田くんは自分の言葉で言うだろうから「頑張れ」って気持ちで、最後まで聞いていますね。ほかのコンビを見てたら、話すのが上手な方が、苦手な方のトークをパッと取って、うまくまとめたりするじゃないですか。お仕事なのはわかってるんですけど、“優しくないねえ!”って感じで、面白がって見てたりします。
ネタ作りは「これはなんだろう?」から始まる
――ネタ作りって、YouTubeの「おはなしおおぎり」のイメージですか?
内田 私が作って、山田くんに見せて、山田くんが「これはどういうこと?」とか「これは先に喋っておいたほうがいいと思うよ」とか、教えてくれる感じです。
――他のインタビューだと「書いて枕元に置いたらできるんです」みたいなこともおっしゃっていて、どっちなんだろうと思って。
内田 それを言えばよかったなと思いました(笑)。いい子にしてるとお笑いサンタさんがネタを持ってきてくれるって言えばよかった!
――あははは! 難しい質問だと思うので、あんまり芸人さんにネタ作りの話は聞かないんですけど、人間横丁さんは気になっていたので聞いてしまいました。内田さんの興味の幅でやっている感じなんでしょうか。
内田 「これはなんだろう?」「なんでこうなんだろう?」とかから作りますね。真実がわからないことって遊び放題じゃないですか。例えば、ネタにもなっていますけど、グーグルマップのピンは、マップには刺さっているけど現実には刺さってないですよね。刺さっていても楽しいじゃん! とか。
あと、雷が鳴ると、おへそを隠さないと取られるっていう話あるじゃないですか。でも、取ったおへそをどうしているんだろう? とか。「しんにょう」のネタとかは、なんでしんにょうを最後に書くのかずっと気になってて、理由があるのかなとか。
私、幼稚園から高校まで同じ学校にいたんですけど、「“なんで?”ってたくさん言おうね」っていう方針の学校にいたんです。そういう環境にいたからかもしれないですね。なんでも気になる。「なんでパンツをはかなきゃいけないの?」っていう疑問に対して、「そういうルールだから」って言われるとすごいイヤなんですよね。