国家の命運を外国に委ねるな! 独立国としての「フリーダム(freedom)」を、外国と官僚に依存した戦後体制によって奪われている日本。国際情勢や国内の諸問題を通じて、真の「フリーダム(freedom)」とは何か? 『日本は誰と戦ったのか』(ベストセラーズ)で第1回日本再興大賞を受賞、第20回正論新風賞を受賞した江崎道朗氏が日本再建の道はどこにあるのかを示す!
米軍の岩国基地増強が意味すること
韓国と日本の沖縄では、米軍基地反対運動が活発になっているのですが、この反米闘争の背後には、中国共産党政府がいると言われています。
公安調査庁は、平成29年度版「内外情勢の回顧と展望」の中で、中国の大学やシンクタンクが中心となって、沖縄で「琉球独立」を求める団体関係者などと学術交流を進め、関係を深めていると指摘しました。
交流の背景には、米軍基地が集中する沖縄で「中国に有利な世論を形成し、日本国内の分断を図る戦略的な狙いが潜んでいる」として、今後の沖縄に対する中国の動きには「注意を要する」としています。私からすれば、何を今さらという感じです。事態はもっと深刻です。
中国共産党政府は戦後一貫して、沖縄の米軍基地に反対してきましたが、民間団体どころか、行政レベルですでに中国共産党政府と沖縄県は連携を始めています。それが本格化したのは1990年11月、大田昌秀琉球大学名誉教授が沖縄県知事に当選してからです。
大田知事は反米基地闘争を煽る一方で、中国の福建省政府との連携を始め、1994年からは毎年、沖縄県・福建省サミットを実施しています。そして1996年5月には「国際都市形成基本計画」を決定しましたが、その意図をこう説明しています。
「1990年代に中国・福建省、台湾、韓国、北朝鮮と交流を深めることが、大田県政の21世紀へ向けたビジョンだった。それが国際都市形成構想の根幹だった」(吉元副知事)。
この方針に基づいて中国、北朝鮮、韓国との公的な連携を本格化させ、1998年には職員採用試験から国籍条項撤廃を決定しています。こうした動きは、保守系県政の時は止まったものの、そのうねりは確実に広がってきています。
こうした構図の中で、米軍が改めて注目しているのが、山口県の岩国基地です。
平成29(2017)年1月5日付毎日新聞はこう報じました。
《在日米海軍は5日、米軍再編に伴う厚木基地(神奈川県大和市など)から岩国基地(山口県岩国市)への空母艦載機部隊の移転を今年7月以降に開始すると発表した。完了すれば岩国基地の米軍機は120機規模となり、極東最大級の航空基地になる。
・・・中略・・・
米海軍は北朝鮮や中国をにらみ、アジア・太平洋地域を重視する「リバランス(再均衡)政策」を進めており、今回の移転についても「日本防衛や地域の安全と安定のためのリバランス政策にのっとったもの」と説明した》
韓国の反米化と在韓米軍の縮小、済州島に中国海軍の拠点構築という形で、対馬海峡が防衛ラインになることを想定して、米軍は岩国基地の強化を急いでいるとも言えるのです。
安倍政権は、南西諸島防衛のため平成28(2016)年1月末、沖縄に「第9航空団」を新編成し、戦闘機を倍増したほか、近々、石垣島や宮古島にも自衛隊を配備する予定です。
しかし韓国に反日政権が登場し、対馬海峡が防衛ラインとなれば、岩国基地の強化も必要になってきます。ロシアのプーチン政権は、北方領土にミサイル基地を建設していて、その対応も必要になってきました。
ところが、アメリカのトランプ政権は同盟国の平和を守ろうと思っているものの、基本的にアメリカ第一で、日本防衛のことは二の次です。
トランプ大統領は確かに危なっかしいですが、そうした政権に平和と安全を任せている日本の方がもっと危ない状況に置かれているのです。
※本記事は、江崎道朗:著『フリーダム 国家の命運を外国に委ねるな』(展転社刊)より、一部を抜粋編集したものです。