プレゼン資料や企画書、報告書から普段のメールにいたるまで――社会人は文章を書く機会が意外と多い。「何を書けばいいかわからない…」「長くなりすぎて結局よくわからない文になる…」といったことで悩む人に向けて、日本語の専門家としてベストセラーを連発する山口謠司氏が解決法を伝授する。

※本記事は、山口謠司:著『言葉を減らせば文章は分かりやすくなる』(ワニブックス刊)より、一部を抜粋編集したものです。

漠然とした考えで書き始めるから長くなる

「文章が書けない」「気がついたら文章が長くなっていた」など、文章作成で悩んでいる人は多いものです。

社会人になると、文章を使って相手に伝える作業から逃れることはできません。企画書、報告書、プレゼン資料、メール、論文など、文章であなたの意思や状況を相手に伝えなければならない機会が多くあります。

文章がうまく書けない理由は、書くべきことが自分の頭の中でしっかり決まっていないからだと私は考えています。文章力がないという問題以前の段階で、つまずいている人が多いのです。

ただ漠然と文章を書いても相手には伝わらない イメージ:PIXTA

「伝えるべきこと」「伝えたいこと」が自分の頭の中で明確にイメージされ、整理されている人は、思考をうまく文章化することができます。

逆に、「なんとなくこういうことを伝えたいんだけどな」という程度の考えで書き始めてしまう人は、うまく文章を書くことができません。何を書けばいいのか明確になっていないのに、文章化できるはずがないのです。

頭の中から「これが言いたい」を取り出す

私は職業柄、論文を多く読みます。学者が書いた論文はもちろん、学生の書くレポートや卒業論文も読みます。

論文を読むと、執筆者の思考が整理されて書かれたものかどうかが、すぐにわかります。整理されていない人の文章は、ダラダラと長く、何を伝えたいのかがわからないからです。

「わかりやすくて納得できる」という論文は、短くシンプルな文章が集まっています。この差が生まれるのは、文章力の差というよりも、思考を整理して書いたかどうかの差ではないかと思います。

伝えるべきことが明確ではない状態で文章を書いてしまうと、何を言っているのかわからない文章が出来上がるのです。

わかりやすいシンプルな文章を書くためには、思考を整理することが鍵となります。漠然とした思考をしていては、頭の中の考えはまとまりません。あらゆる文章を作成するとき、的確に思考を言語化することができません。

そこで、漠然と頭に浮かんでいる考えの中から、「自分はこれが言いたい」と思うことを取り出すことが必要です。

文章を書く前に、頭の中の考えを整理する――。

これを怠らない人が、短く伝わる文章を書くことができるのです。

まずは頭の中から「言いたいことを」取り出す イメージ:PIXTA