今年の夏の甲子園が終わり、8月31日からは台湾で「第31回 WBSC U-18 ベースボールワールドカップ」が開催されている。
現状、日本は一次リーグ2位通過を決めている。
Amazonや楽天などのネット書店、紀伊國屋やジュンク堂でも売上ランキングの上位に入った『戦略で読み解く高校野球』(集英社)の著者であるゴジキ氏が、21世紀におけるU-18の最強のチームや課題などについて語る。
準優勝に輝いた2013年が最強世代
個々のメンバーと成績で見ると、優勝に輝いた2013年が21世紀のなかでは強さを見せていただろう。
エースに松井裕樹、正捕手は森友哉がおり、合計13人の選手がプロ入りした。
今の日本のU-18は、バントなど細かいプレーのスモールベースボールが基盤となっているが、この世代は全体的に打撃もよかったため、バランスを見ても強さが感じられたチームだった。
特に、森は打率.406、1本塁打、15打点、OPS1.120を記録し、2年連続のベストナインに輝く活躍。
チーム全体を見ても、15打席以上立った打者で、打率3割以上は7選手(森友哉、内田靖人、熊谷敬宥、竹村春樹、渡邉諒、森龍馬、吉田雄人)いた。
その他を見ても、若月健矢や上林誠知、岩重章仁といった選手たちも当たっていて、控えも含めて層の厚さがあった。
監督を務めた西谷浩一氏は、大会期間中に好調の熊谷を本職の内野からレフトに移すなどの柔軟さも垣間見えた。
また、投手陣は決勝のアメリカ戦と韓国戦、台湾戦といった優勝候補相手には、先発は松井に任せ、リリーフは山岡泰輔を起用し、逆算しながらローテーションを回した。
主にリリーフで起用された山岡は、大会を通して防御率0.00を記録。当時の山岡は、高校生ながらダルビッシュ有からX(旧Twitter)でコメントされるほどだった。
さらに、当時2年生ながら選出された安樂智大は、3試合に登板して防御率0.00、奪三振27を記録。特にベネズエラ戦では16奪三振を記録し、完封勝利をあげた。
山岡と安樂はベストナインに輝いている。
この大会では、決勝のアメリカ相手に先制するものの、逆転負けを喫し、優勝まであと一歩及ばず。準優勝に終わったものの、この世代は個々のレベルの高さと組織の力が上手に組み合わさっていたように見えた。
チーム防御率0点台を記録した2015年
この年も西谷氏が率いた日本代表は、合計14名プロ入りした。
大会を通して見ると、チーム防御率は脅威の0点台を記録。決勝前までの防御率は、なんと0.00を記録していた。
投手陣は、甲子園優勝投手の小笠原慎之介やフル回転の活躍を見せた佐藤世那、プロ入り後も活躍を見せている森下暢仁などがいた。そのなかでも、佐藤はベストナインを受賞する活躍を見せる。
野手陣は、清宮幸太郎が1年生ながら選出され、平沢大河やオコエ瑠偉なども選ばれた。
チーム全体を見ても、15打席以上立った打者で、打率3割以上は6選手(オコエ、津田翔希、杉崎成輝、篠原涼、勝俣翔貴、堀内謙伍)がいた。
しかし、大会を通して当たっていた打者と、そうでない打者との調子の差があり、苦しんだ選手も複数人いた。
この大会では、予選でアメリカにも勝利し、優勝まであと一歩届かず準優勝。チーム全体で見ると、日本開催ということもあり、この大会に参加した選手のコンディションが非常に良かったように見受けられた。