プロで活躍している優勝投手は1人で投げ抜いている
21世紀の甲子園優勝投手を振り返ると、プロ入り後に二桁勝利を記録する投手から、リリーフの一角として活躍する投手、タイトルホルダーまでいる。
高校時代の投げすぎで、あまり活躍をしていないイメージが先行しているが、相対的に見ると、活躍をしている割合は高いのではないだろうか。
また、プロで活躍している優勝投手は、ほぼ1人で甲子園を投げ抜いていることが多く、地力を感じる部分もあり、性格的にもプロ向きなのはあるのだろう。
実際のところ、プロで活躍している甲子園の優勝投手は、投手陣の総イニングで8割以上、もしくは個人単位で40イニングを投げている。
そのぐらいの馬力がないと、プロの世界では活躍できない指標という見方もできる。
下記が2000年からの甲子園優勝投手と登板数、イニング数である。
※参照:週刊ベースボール全国高校野球選手権大会総決算号、選抜高校野球大会総決算号、戦略で読む高校野球
しかし、近年は球数制限が設けられ、各校が複数人の投手を擁し、分業制になりつつある。
そのため、以前のように甲子園で勝ち抜いた投手は、実力面の圧倒さはもちろんのこと、スタミナ面で不安がある投手が増えていくと思われる。
今後、先発投手として活躍するには、甲子園で活躍するよりも、良い意味で負荷をかけられる環境で活躍することが近道になる可能性もあるだろう。
プロフィール
ゴジキ(@godziki_55)
野球著作家。これまでに 『巨人軍解体新書』(光文社新書)や『東京五輪2020 「侍ジャパン」で振り返る奇跡の大会』『坂本勇人論』(いずれもインプレスICE新書)、『アンチデータベースボール』(カンゼン)を出版。「ゴジキの巨人軍解体新書」や「データで読む高校野球 2022」、「ゴジキの新・野球論」を連載。週刊プレイボーイやスポーツ報知、女性セブンなどメディア取材多数。最新作は『戦略で読む高校野球』(集英社新書)、『21世紀プロ野球戦術大全』(イースト・プレス)。X(旧Twitter):@godziki_55