古武術の伝統を守るために表舞台へ
――天心流兵法のような古武術は、一般的にはあまり表舞台に出るイメージがないと思います。そのようななか、なぜ積極的にメディア露出されているのでしょうか?
滝沢 天心流兵法だけでなく、古武術界全体の底上げをしたいからです。そもそも、現代では古武術自体の知名度が壊滅的に低いですよね。名前は聞いたことあるけど、少し近寄りがたいイメージを持っている人も多いと思います。このままでは、入門する人が少なくなって、古武術が途絶える一方です。
戦国時代や江戸時代の人が、当時必要だった技術を命がけで守って伝えられてきたのが古武術です。それを現代では必要ないからと途絶えさせるのは、非常に失礼だし、悲しいことだと思います。なので、どのような形でもいいから露出して、まずは名前だけでもいいから知ってほしいという思いがあります。
――メディア露出で圧倒的な話題となったのがメイド抜刀ですね。
メイドの日と言うことで!
— まーこ (@harima_mekkai) May 10, 2016
「メイドと日本刀」#vivavideo pic.twitter.com/hg4KoNw8Il
滝沢 メイド抜刀は、さすがに奇抜だったのでX(旧:Twitter)に載せるか迷ったんです。先生とも相談のうえ、メイドの日である5月10日に投稿してみたら、思いのほかたくさんの反響をもらうことができました。
もっと批判の声が出ると覚悟していたのですが、高評価が多くて驚きましたね。「この動画を見て、いったん休んでいた武道をもう一度やろうと思った」というコメントもいくつか届いて、本当にうれしかったです。
――そもそも、なぜメイドだったのでしょうか?
滝沢 当時は、ナスの着ぐるみとか、とにかくいろいろなコスプレで撮影をしていたんです。そしたら、母親が町内の夏祭りの余興で使っていたメイド服を持ってきて「次はこれ」って(笑)。面白いからやってみようとなったのが、メイド抜刀の始まりですね。
――メイドと刀の組み合わせも面白いと思うのですが、とにかく抜刀の技術が素晴らしいと思いました。
滝沢 メイドと刀、どちらも中途半端では残念なイメージで終わってしまいます。ふざけるならちゃんとふざけて、何か飛び抜けたものを感じさせれば、人を引きつけられると思って演武を披露しました。
――滝沢さんといえば、無料写真の提供サイト「ぱくたそ」で、フリー素材モデルもされていますよね。そちらでの活動も印象的です。
滝沢 「ぱくたそ」でモデルを始めたのも、古武術を広めるきっかけ作りができればいいと思ったからです。僕の名前を通して“こんな世界もあるんだ”と思ってくれる人が少しでも増えたらうれしいです。あと、自分が趣味で集めている骨董品を着た写真を残したいという気持ちもありました。
――写真で身に着けている鎧や装束は、滝沢さん自身で用意したものなのですか?
滝沢 そうなんですよ! 休みの日に骨董市に行ったり、オークションで手に入れたりしています。自分でたくさん衣装を用意できる話をしたら、ぜひモデルをやってほしいとなり実現しました。

気づけば好きなことが仕事になっていた
――滝沢さんは「好きなことを仕事に」することについて、どのように考えていますか?
滝沢 僕自身は、いまの活動を仕事にしたいと思っていたわけではありません。ただ好きなことを楽しんでやっていくうちに、自然とお仕事のご依頼をいただけている状況です。でも、好きなことを仕事にすると、場合によってはイヤになってしまう方もいますよね。それでは元も子もないと思うので、もちろんイヤなときもあるけど、やはり仕事を楽しんでやることが大切だと思います。
――ありがとうございます。最後に、滝沢さんが今後どのような活動をしていきたいかを教えてください。
滝沢 天心流兵法の指導者としては、1000年残る流儀として後世に残す活動をしていくつもりです。さらに、もっと古武術がメジャーな存在になるような努力をしていきたいと思っています。継ぐ人がいないからと、失伝してしまうことがないように技術を残していきたい。時代が変われば宣伝方法も変わると思っているので、これからもメイド抜刀のような面白いことを考え続け、古武術を積極的に広めていきたいです。
(取材:川上良樹)
