買い物を巡る混乱…そして希望も

遡ること1週間前、日本と同じようにこちらでもスーパーマーケットでの買い占め行動が大問題になっていた。

スーパーからは、パスタ・缶詰・シリアル・冷凍食品・オイル・水といった保存が効くものはもちろん、一時期は野菜・卵・肉・魚・パンも何もかもなくなった。食料品だけでなく、トイレットロール・ハンドソープ・掃除用品・衛生用品・キッチンペーパー・歯磨き粉・シャンプー・ボディソープ・洗剤など、これも? というものまで、ありとあらゆるものが棚から消えた。

3月21日、巨大スーパーマーケットの冷凍食品棚にはアイスクリーム以外何も残っていなかった(筆者撮影)

自宅近くの薬局も、この1〜2週間だけで、クリスマス時期の2倍超の売上を上げたそうだ。

スーパーがだめならば、ということでオンラインショッピングを利用しようとしたが……皆考えることは一緒。どのサイトもアクセス集中でパンクしてしまったのだ。オンラインショップを一時的に閉めるという大手スーパーも出た。

また、運良く繋がったとしても、オンラインサイトに入るための“行列”に並ばなければならない始末である。(1万5千人中、あなたは今何番目、サイトに入れるまであと4時間待ち、など逐一出るようになったサイトもある)、さらにクリック&コレクトサービス(オンラインで注文し、店頭で受け取る)も3週間先まで見つからない。

結局、筆者はサイトもチェックするのをやめてしまった。そのようなライフラインは、お年寄りや自己隔離中で本当に外出できない人々のために残しておくべきで、余計なアクセスで負荷をかけたくなかったからだ。

それから約2週間経った現在はどうか。食料品はだいぶ棚に戻ってきており、人々はこの現実と生活リズムに慣れたのか、明らかに大量の買いだめをしているような人は少なくなった。ずっとないないと騒がれていたトイレットロールも2週間ぶりに見かけた。

3月29日、ワンポンドショップ(100円均一のようなもの)にはトイレットロール、掃除用品と商品が戻った(筆者撮影)

少しでも多くの人へ届けるための小売店側の努力も大きい。一人1つもしくは2つといった購入数規制、店内に一度に入れる人数規制、2メートル間隔での列並び、カード払いの推奨、お年寄りやNHS(国営医療サービス)で働く人々のための特別営業時間の設定、レジ係の前に透明板が置かれるなど、ありとあらゆる対策がとられ、毎日のようにアップデートされる。

こうした柔軟な対応は日本も必要となってくる部分ではないだろうか。