一問一答! リッキー社長に聞く
最後に、長年にわたり芸能畑を歩み、ついに社長となったリッキーさんに一問一答をしてみた。
――スターとは?
「自分のことが大好きな人のこと。それがわかりやすく見える人もいれば、やってる仕事やお客さんやスタッフへの愛情を通して“あいつ、自分好きやなあ”っていうのが伝わってくる人もいます。そのどちらもスターだと思います」
――運とは?
「誰にも必ず1回は巡ってくるものだけど、それに気づくかどうかはその人次第、それが運じゃないですかね」
――才能があるのに売れない人は何がダメなんですか?
「コンビやトリオでちゃんと意思疎通をしていないことですね。昔みたいに、主導権を握る人間が相方を思い通りに演出するような、独裁的なスタイルは今はもう無理だと思います。
グループが壊れるのを山ほど見てきましたけど、自分の指示どおりに相方がやってウケると、指示したほうは相方のウケに嫉妬するんですね。同じ分量のウケを自分も欲しくなる。自分でネタを作って、それを演出してウケてるのに、そのスタイルを崩してしまうんです。それが一番大きいですかね」
――社長としてのモットーは?
「しっかりと社員と話していく。僕は衝動買いはするし浪費家ですし、おおよそ経営には向いてはいないと思うんですが、こちらが思っていることを意思表示して、ちゃんと伝わるように表現していこうと思います。何をしてほしいのか、何に感謝しているのか、何に怒っているのか。ネタそのものや、ネタ見せと同じだと思います」
――芸人さんを売るのは大変だと思いますが、リッキーさんはどう考えていますか?
「僕がやってきたのはライブを作り続けることですね。裏方さんの仕事は、お笑い担当のディレクターやプロデューサーを連れてくること。芸人の仕事は、そこでオモロイものを見せること。
すごくお世話になった人力舎の故・玉川社長がおっしゃっていたことですが、“売れないからなんとかしてくださいよ”って嘆く芸人に対して“そんなもん、こっちが上手に売れるか!”って答えてたんです。そこだけ聞くと逆ギレっぽいんですけど(笑)、続けて玉川社長が“場所はちゃんと作るから、そこでおまえら必ずチャンスを掴んでくれよ!”。これなんですよ。そういうシンプルな考えが一番だと思います」
――ぶっちゃあさんとは?
「いろんなことを提案される人ですね。それがいつも面白い。サンミュージックのお笑い養成所にしても、ダンディ坂野が売れて、ヒロシとかが売れかけたときに“ビジネスにもなるし、やりたい!”って言い出すのは、ぶっちゃあさんなんですね。
で、当時の副社長とお笑い班のミーティングをすると、どんどんアイディアを出してくれて、僕は“ふんふん”って聞いてるんですよ。で、“発案者なんだし、ペラ1でいいから提案書を作って”とお願いすると、“明日にでも書いてくるわ!”って言いながら、2か月3か月4か月が経つ。
それで副社長から“養成所の話はどうなったのかな?”ってつつかれて、ぶっちゃあさんに聞くと“やりますやります”と、もうしょうがないなぁと僕が書いて“ぶっちゃあさんどう?”って見せると、アレコレ意見を出してくれる、自分では書かないのに(笑)。そういう関係性ですね。
ぶっちゃあさんがきっかけを作る→あいだが抜ける→周りがやる→ぶっちゃあさんがアレンジする……言い出しっぺで、卑怯ですけど(笑)、アレンジとかたちづくりがうまい人です(笑)。でも、芯の部分はつながっているし、こういう二人だからこそずっとやってこれたのかな、そう思っています」
(取材:武田 篤典)