気になり過ぎる三色ババロア

と、当時は失意のなかで終わったギョニ……いえ、ストロベリーババロア。それ以来、ババロアは作っていませんでしたが……皆さま! 時は来ました!! まさに今、リベンジの時!!

まずは以前から気になっていた「三色ババロア」、掲載されているのはこちら!

▲『おやつ向きの和洋菓子の作方』(昭和9年 主婦の友社発行) ※著者私物

『おやつ向きの和洋菓子』。人気婦人雑誌『主婦の友』の付録で、表面はカラーで付録とは思えないほどの豪華な内容のレシピカードです。戦前の付録は意外と豪華で、錦絵のような印刷で華やかでステキです。

記載名は「三色バゞロア」(以下三色ババロア)。大型のゼリー型で作ったババロアが、苺・バニラ・チョコレートの三層になっており、この形態の「三色ババロア」は、昭和初期から中盤までいろいろな本や雑誌に掲載されているので、ご存じの方もおられるかと思います。材料はこちら。

「三色ババロア」
苺液
材料:
苺シロップ / 砂糖 / 水 / 卵白 / レモン汁 / 食紅

カスタード液
材料:牛乳 / 砂糖 / ゼラチン玉子

チョコレート液
材料:牛乳 / 砂糖 / ゼラチン玉子 / チョコレート

まずは、苺味部分の「苺シロップ」を作らないといけませんが、記載されてる手順だと「苺と砂糖を漬けて1か月間マメにかき回す」というもの。……無理だ……絶対に作ったことさえ忘れ、謎の物質が爆誕するという自信さえある……。

というわけで、今回は苺と砂糖を一旦軽く煮て、数日置いた苺シロップをご用意。

▲即席苺シロップ

意外と綺麗な赤でびっくりです。このシロップを漉したものとゼラチン、砂糖、謎の卵白、レモンを混ぜます。そもそも、この苺液は、レシピ集に別記掲載されている「ゼリー・プレーンの応用」と書いてあるので、これゼリーなのでは…? とも思いますが、謎は謎のまま進めていきます。

そして謎の卵白は、応用の「ゼリー・プレーン」の挿絵でわかりましたが、白赤の二色のゼリーで白色を付けるために卵白が入っているようです。なので、入れなくてもよさそうですが、一応、今回は記述通りに進めていきます。

▲一段目の苺液を入れます

材料を入れて混ぜていると、苺シロップの瓶では良い色でしたが、体積が少なくなると、なんだか色が薄くイマイチ。レシピには「食紅を使って良い」的なことが書かれてるので少し入れ、型は挿絵の城型ではなく、当時、三色ババロアとして各本によく紹介されていたベーシックな型にしました。型に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固めます。

そして二段目、カスタード味(本来は「アングレーズソース」というらしいのですが、わかりやすく「カスタード」で押し進めます)は牛乳、ゼラチン、砂糖、黄身を混ぜて、

▲二段目のカスタード液を入れます。

固まった苺味の上に流し込み、冷蔵庫で冷やし固めます。

いちいち冷やすの時間かかるなこれ……とはいえ、国産の電気冷蔵庫の発売は昭和10年なので、昭和9年の一般家庭では大きな氷を入れて冷やすタイプの冷蔵庫、もしくは冷水で冷やすしかなかったので、当時からしたら現在の冷やし方はちょっぱや! なので我慢です!

そして最後のチョコレート味。溶かしたチョコと牛乳、砂糖、ゼラチン、そして泡立てた卵白、……ん? これこそムースでは? とは思いますが、とにかく進めます!

▲三段目のチョコレート液を入れます

混ぜたチョコレート液を固めたカスタードの上に流し込み、冷蔵庫で冷やし固めます。

固まったら出来上がり!

▲完成!

おお! 意外にうまくいってる!! 3種類とも入っているものが微妙に違うので、何かしらが起きちゃうかと思っていましたが予想外!! 苺部分が予想以上に綺麗です!

▲切った断面もイイ!

切ると下のチョコレート部分が泡立てた卵白入りのせいか、ほわほわしていますね。

さてさて、いただきま~す!

んん!?!? は? 本当にこれ昭和9年のレシピ?? まじ??? 凄まじく美味しいんですけど!? 少し甘いけど、チョコ部分の美味しさと柔らかさ、カスタード部分の王道の美味しさ、そこに少し酸味と甘味の苺味とのバランスが絶妙!!

ふおおお……ちゃんと漉したので舌触りもなめらかで、苺ゼリーとババロア、チョコムースとのトライアングル効果でずっと食べていられる!! なぜ今まで作らなかったのか~!!