みかん囲みババロア(みかんのシャルロット)

そんな「ババロア」の起源が『デザート』(昭和48年 婦人画報社発行)に記載されており、出身国はなんとドイツ。私の脳内では勝手に焼き菓子が多い国とか思っていましたが、ババリア地方(現在のバイエルン州)の城主に仕えていたコックが考案したものと記載されています。そんな直球な名前だったとは……。

▲『デザート』(昭和48年 婦人画報社発行) ※著者私物

この本にもババロアはかなりの種類載っており、そのなかでも幼い頃から気になってた、周りに柑橘の輪切りがめちゃ付いているババロアも作っちゃいます!! 材料はこちら。

「みかん囲みババロア」
材料:
ゼラチン / 水 / 生みかん汁 / 砂糖 / レモン汁 / 白ワイン / みかんの輪切り / 卵白 / 生クリーム / 塩

記載名は「みかん囲みババロア(みかんのシャルロット)」。

「みかんシャルロット」の「シャルロット」は、本来ビスキュイやパンの耳で囲った帽子に見立てたお菓子を指しますが、こちらの本では、囲ったみかんの輪切りをビスキュイなどに見立てたようです。

まずは、型離れしやすいようにサラダ油を型に薄く塗り、輪切りにしたみかんを付けて型ごと冷やします。

見本ではドーム型ですが、以前、知人とババロアの話になった際「なぜババロアはエンゼル型で作られているのが多いのか?」という話になったのを思い出し、謎を解明すべく? エンゼル型でやってみますか!

▲エンゼル型にみかんの輪切りを貼り付ける

とは言うものの、上手に型からはずれるのか悩みどころですが、やってみるしかねえ!

ちなみに、エンゼル型は「天使(エンジェル)の輪」に似ているからですが、昔の日本語には「ジェ」という言葉がなかったので、その時代に入ってきたものはこういう表記のようです。

まず、みかんを絞るのですが必要量300ml! 1袋以上も絞ることに……まじか……ポンジュースも考えましたが、できるだけ忠実にしたく絞りまくりましたぞ!! コンチクショー!! ぎゅむぎゅむぎゅむ……。

▲10個前後使用

ぜえぜえ……必死に絞りまくったせいで何個使ったか数えてない……、たぶん1袋ちょいも絞ったよ……絞っているあいだに、“なぜオレンジでなくみかん?”とも思いましたが、オレンジは平成3年の「オレンジ自由化」まで輸入制限があり、母が昭和40年代に田舎から上京した折りに初めて見たと言っており、あまり一般的ではなかったようです。

なので、そんなオレンジより手に入りやすいみかんにしたのかもしれません。んもう! めっちゃ絞った~!!

ここに砂糖、レモン汁、白ワイン、溶かしたゼラチンを入れて混ぜたオレンジ液を作り、別に卵白に塩ひとつまみと砂糖を入れて泡立てたものを作り、両方を混ぜます。

▲みかん液に卵白を投入!

卵白と液同じくらいのとろみにして混ぜます。

とは言うものの、ぼやっとしてるとみかん液は固まり始めるし、卵白の状態を見たりで、同じってかなり難しい! 大丈夫か?

▲すこし固まり過ぎてモコモコになってしまった

そんなこんなで型に入れ、冷蔵庫で冷やし固めます。

……なんだかもったりしてて大丈夫なのだろうか……モコモコじゃん……というか、不安しかない!!

ひょうきん懺悔室の「バツ」を出されたような気分のまま、片肘をついてお菓子のゴッドに祈ります(ウソ、お茶飲んでた)

数時間後、かなり大きいのでしっかり冷やしました! せーの……

▲完成!

ドン!! そして生クリームで盛り付け!

お~!! なかなかイイ感じ! 若干輪切りが1枚剝がれかけましたが、持ち前のネガティブさでなんとか乗り切りました!!(悲鳴上げてた) では、いただきま~す!

▲断面はホワホワしています

おお! 味はまんまみかんです。さすが、あれだけの数のみかん汁が入っているだけあります。味はまあまあですが、みかん独特のモワっとした柑橘の風味より、シャープな柑橘感のオレンジのほうがより一層美味しそうです。この味、遠足のバスを思い出すな……それにしても断面がかなりホワホワしていますが、これ正解? 断面写真が掲載されていないのでわからないのです。