メッシの相棒として、アルゼンチン代表の柱として
ディ・マリアにとって初めてのW杯はメッシから遅れること4年、2010年南アフリカでした。
ベテランのゲームメーカーであるベロンが大会中に負傷退場したこともあり、マラドーナ監督がメッシをトップ下に据えました。
しかし、狙い通り機能しているとは言い難い中、ディ・マリアは何度も4-3-1-2の3の左サイドとして縦への突破で前のスター選手がプレーしやすい位置までボールを運び、守備ではアルゼンチン史上No.1の守備力を持っていたマスチェラーノの横で奮闘します。
しかし、メッシ、ディ・マリアともに無得点で大会を去ることになりました。
4年後の2014ブラジルW杯。より、メッシ中心という色が濃くなったチームの中で、ディ・マリアも不動の存在となっていました。
「お散歩」と揶揄され、ドイツのGKノイアーより走行距離が少ないこともあったメッシが攻撃に専念できるよう、ディ・マリアは本職のウイングではなく中盤の一角に入り、攻撃を組み立てます。
そしてGLを3連勝、メッシの4Gで迎えた決勝トーナメント一回戦。
メッシとディ・マリアの個の力でしかボールを運ぶ手立てがないとスイスにバレていたアルゼンチンは、苦しみに苦しみます。そして118分。
守備ではお散歩しているけど、ボールを持つたびドリブルすることで疲れていたメッシが必死のドリブルでゴール前を打開すると、敵を引きつけて右にパス。そこにいたのは時間が進むにつれ、その無尽蔵ぶりで主役に躍り出ていたディマリアでした。
しっかりと決め切りW杯初ゴール! この男、メッシがしんどそうなら主役も担えるのです!!
ただ、この大会のディ・マリアの冒険はここまで。準々決勝のベルギー戦で先制した後、前半28分に負傷退場。チームは1-0で勝ったものの、メッシを立て、メッシが苦しければ主役に躍り出るバイプレーヤーを失ったチームは攻める手立てを失いました。
チームは1990年のイタリアW杯以来、24年ぶりに進出した準決勝では0-0で引き分けて、PK戦でオランダから勝利をおさめます。見事ドイツが待つ決勝戦に進みますが、クオリティの差は歴然で、ディ・マリアを欠くチームは2試合、240分無得点。試合は延長後半にゲッツェにゴールを許し、準優勝で大会を終えました。
そしてさらに4年後、2018ロシアW杯は多くの人に「メッシはW杯を獲れない」「メッシは代表では輝けない」。そう印象つけてしまう大会となりました。
メッシはスピードなどの面でやや落ち目になり、さらにチームは過去二大会以上にクオリティがない。また前回まで水際を防ぎ続けてきた守備の鬼、マスチェラーノがこの大会を最後に代表からいなくなることも未来への絶望感を深めました。
そんなアルゼンチンはこの大会のハイライトとなる名試合を演じます。
しかし、メインキャストはメッシではありませんでした。エンバペの圧倒的な突破でPKを獲得したのはフランス。内容面でもアルゼンチンを圧倒していました。
それでもアルゼンチンはノーチャンスの状況からディ・マリアが左足を一振り。25m級の弾丸ミドルでチームを救います。チームが苦しい時、助けるのはこの日もディ・マリアでした。
しかし結果的に4-3でフランスが勝利。マン・オブ・ザ・マッチは無双とも言えるキレと突破力で2得点1PKゲットをしたエンバペ。
『新時代の幕開け』『メッシの時代の終焉』と多くのメディアの見出しに踊りました。
この時すでに31歳のメッシとディ・マリアの代表での冒険はここで終わる、と世間に思われた中、これから皆さんご存知の4年後の話へ続いていきます。
すいません。愛するディ・マリアの話は一週ではまとまりませんでしたので、続きは次週ということで!