「自分が一番じゃない環境」で揉まれることの大切さ
思えば、風間八宏さんもセレッソ大阪の育成部門を担当した際に、小学生から高校生までシャッフルしてチームを作る大会をしたと聞きました。
一見、レクリエーション大会っぽくもあるし、人間形成のためっぽくもあるけど、頭を使える子なら、選手として成長するための大きな糧になるはず、と僕は思うのです。
大人同士ではあり得ない圧倒的な体格差を他のどこで埋めるか、この大人だらけのチームで自分はどう貢献できるか、を考える。
天才と言われる選手は、とんとん拍子で進んでいけば、強豪チームに入団、飛び級で代表、Jチームへ入団して活躍、マンチェスター・Cへ移籍……と、サッカー選手としてすばらしいキャリアが築けるかもしれません。ただ、どこかしらで「自分が一番うまくない環境」に置かれることがあるはず。競争社会で揉まれることはとても大事なことです。
というわけで、僕や相方は、中学1年生で体も小さい少年に手加減をするのをやめました。本気で奪いにいきました。酒井さんは、そんな理由もなく普通に楽しくて煽っていました。根っから明るいです。
とはいえ、そんなことを説教臭く言うのも違うので、大人気ない大人としてプレーしていると、数か月で長男のプレーが変わったのです。
カットインするために縦に突破する引き出しを見せたり、駆け引きの幅が広がったのです!!
それから数か月で、彼はこっちが手加減なんかしなくても対等にやれるようになり
「え? 俺らも中学生のとき、こんなスピードで上手くなってたのか?」
と、比較対象も伸びていたから知り得なかった伸び盛りの成長曲線のすごさを知る一方で、自分たちが劣化しているという事実から目を背けていました。
そして、あれから2年。中学3年生となった長男は、こっちが本気を出しても全く止まらないチームで一番のアタッカーとなりました。股抜きしたあとに、ニヤニヤとこっちを見てくる悪ガキっぽさも可愛いです。
本当に日進月歩で成長しているので、それを見ているだけで楽しいのですが、最近、新たな楽しみが加わりました。
2年前は手加減してあげないと、さすがに大人に混ざれなかった彼の弟が中学1年生になり、技術やキック力がついてきたのです。
おじさんたちは今、2人目を育てたくて、ウズウズしています。皆さんも身のまわりで対アフリカを疑似体験させたり、育てたい子どもがいたら、是非ご一報ください。