浦和を背負う覚悟を感じる関根貴大のプレー
関根選手は2017年、ドイツ2部のクラブへ移籍。その後、ベルギーのクラブに移籍するも、海外ではなかなかステップアップすることができず、レッズに帰ってきました。一時は大きく近づいていたであろう代表からも遠ざかってしまいます。
その一方で、浦和の選手としては古株となり、1人の監督が腰を据えて長期的に指導することがないチーム状況下で、中央であったり、チーム事情によってはサイドバックでプレーしたり、守備に奮闘してハードワークする選手になっていました。
その姿に感じるのは浦和を背負う責任です。
この日も一瞬のキレで前を向いたり、粘り強い守備で食らいついたりすると、逆サイドの大久保智明選手が小柄で、相手の杉岡大暉選手に分が悪く、FWのリンセン選手にも難敵がついているからなのか、ゴールキックのターゲットマンも担当。192cmの望月選手相手に強気で闘い、時に勝利します。さらにはセットプレーから鮮やかなボレーシュートでゴールも記録。見事な活躍ぶりを見せました。
そして、望月選手を前半でベンチに追いやりました。黒田監督は望月選手の交代に関して
「なかなか平常心でプレーできないメンタルの弱さもある。(初のA代表選出などの)プレッシャーを受け止めてパフォーマンスに変える、というのはちょっと難しかった」
と語っていますが、関根選手が望月選手に気持ちよくプレーをさせなかった面も、非常に大きかったと思います。
その姿は浦和アカデミーの先輩で、同じく天才ドリブラーとして海外に挑戦し、ドイツで生き残るために、ドリブラーからプレースタイルを大きく変えた原口選手と重なって見えたのです。
2018ロシアW杯で見た原口選手も、天才と呼ばれたあの頃の片鱗もないくらい泥臭く戦い、そしてドリブルにあれだけこだわっていた選手が、通る可能性の低いスルーパスを全力で追いかけて、ベルギーからゴールを決めたのです。
レッズアカデミーの出身選手は歴代、J下部では珍しく、テクニックというよりも気持ちが強い選手が多いのですが、この2人のドリブラーも、攻撃の急先鋒だった若手時代から立ち位置が変われば、チームの勝利のために自分を曲げることができる。こんな心を打たれるものが見れるなら、“雨でも来てよかった”と心から思えたのでした。
〇【FC町田ゼルビア×浦和レッズ|ハイライト】2024明治安田J1リーグ第29節|2024シーズン|Jリーグ
そんな浦和育ちの2人が重なって見えた翌日、原口選手が10年ぶりにレッズに帰ってくることが発表されました。
2人がともに戦う姿を見られるのが楽しみです!!