アトリエでの過ごし方

高野:作業中は音楽を聞いたりされますか?

大河:基本は、音楽をめっちゃ流したり、たまにラジオを聞いたりしてます。マユリカさんの「うなげろりん」とか聞いてます(笑)。トランス状態に入りたい時は好きな曲をずっとリピートしてます。1曲をずっとかけて時間をわからなくしてるのかもしれないですね。テンション上げたいというか、勢いでいくぞみたいな感じですね。

――どうやって日々描いているのか、あんまり聞いたことがないので面白いですね。

高野:アトリエで絵を描き続けるっていう集中力も実感しますね。ソファーとか、居心地が良くなるものはあんまり置かないんですね。

 

大河:あったらもう絶対寝ちゃうと思って、むしろ、あんまり居心地が良くないようにしたんですよ。一度横になっちゃうと、多分普通に3時間位寝ちゃうと思うので、寝れない環境にしています。

高野:絵が上手く描けないスランプみたいなことって経験されたことはありますか?

大河:たくさんあります。でも、スランプだから描けないなと思っても、絶対描くんです。もうとにかく手を動かします。もちろん、いつも最大限のフルパワーで良い作品を描こうと思って、その時出来た作品がベストの状態であるっていう状態には持っていってはいるんですけど。

それでも、もっといい作品を描きたいっていう気持ちもあって、今の自分の最高を全部出してますって感じではあるんですけど。でも、まだ上いけるよなみたいなのを、ずっと。なんかもうずっと崖上ってるみたいな感じです。常に山登って、遥か上に行けたらいいなみたいなイメージですね。ずっと。自分の中では結構作品作りはめっちゃ戦いの気持ちです。

高野:表現とかそういう感じですよね。演技もダンスも、もう1つ上にいきたい、っていう気持ちはあります。完璧の上があるんじゃないかと思って、無限に上に見ちゃうっていうか、共感しますね。やってる瞬間は楽しいという気持ちも、もちろんあるんですけど、ゆるい気持ちではいけないんですよね。僕の場合は、作品を一緒に作るチームがあって、スタッフがいますけど、絵を描く作業は1人だから、1人で作られてるってのが本当に凄いです。

 

大河:確かに、作品作りにおいては1人の時間がどうしても多いですね。でも、やっぱりそれこそ私もその展示ができる機会、ギャラリーの方だったり、来てくれるお客様だったり。こうやって取材してくださるみたいなこともあって、私が生かされているって感じなので、本当に私も描くたびに、一人じゃ無理だなってめっちゃ思います。

本当に展示してる時が一番気持ちいいんですよね。見てくださったお客さんが、喜んでくれてたり、作品と共鳴してくださったりした時に、マジ描いててよかったみたいなって思います。その瞬間のためにやってるみたいな感じです。展示は、応援してくださる方がいないとできないので、本当に展示会をやるたびに1人じゃなかったって思います。

高野:僕、以前、カードゲームを作ったんですけど、1人で絵を描くという作業を黙々とやるという点で、大河さんの感覚に似ていて、カードを発売してからが一番楽しかったんですよね。ホッとしました。手に取った方から面白いって言ってもらえるのが素直に嬉しかったです。多分かかった時間が半端ないんで。自分にとっても大きかったのかなと思いますけど。やっぱそれを多分毎回個展でやられて。その苦労が半端ないし、多分1人でこもってる時間分、反応をもらえた時は気持ちがいいんだろうな。

大河:ホントに思います。高野さんめちゃくちゃ多才ですね。