板に描くというこだわり

高野:たくさん色んな種類の板が置いてありますけど、これからこの板に絵を描かれるんですか?

阿南:そうですね。いいなと思った板を見つけたら買っておいてます。

高野:木の種類によって描きやすさというのはあるんですか?

阿南:基本的に、全部描きにくいです。水を吸っちゃうんです。微妙な凹凸があったりもしますし。

高野:下地とかは塗りますか?

阿南:そうですね、絵の具を載せる部分だけメディウムで下地を塗りますね。でも、背景はそのままの状態です。ちなみに、これから描こうと思っているんですが、この板は屋久杉です。

高野:屋久杉の板も購入できるんですね。カッティングもするんですか?

阿南:これは、買ったままの状態です。そうですね、切ったり、繋げたりしようかなと思います。こっちは普通の杉で“うづくり”といって、木目を浮き立たせる加工をしてあるものです。ボコボコしてるんで、高さを揃える加工をやらないといけないんですけど。

高野:いろいろありますね。

阿南:僕もまだまだ木材の知識はないのですが、本当なんかいろんな種類の木材がありますね。

高野:木に絵を描かれるようになったのは、コロナ禍以降なんですか?

阿南:コロナ禍以降、コンセプトは以前から変わらないですけど、表現をちょっと変えながら、去年ぐらいから背景を木にした方がいいなと気付いて、そこから始めたんですけど、そのモチーフが真ん中にあって、そのモチーフは移り変わっていく途中。そして、その周りっていうのは、自然を表したくて。環境はそんなに早くは変わらないんですけど、少しずつ変わっていくので。これ、かなり今新しい状態なんですけど、自画像は、1年前の作品なので、若干日焼けというか、色が落ち着いている状態なんです。

高野:確かに。

阿南:切りっぱなしの削りたての色というか、その中で生きる人や動物とかも変わっていくっていう、作品がまるごと変化していくっていうものになってます。

高野:すごいな、キャンバスすらも生きている。

阿南:全然綺麗な状態じゃなくて、どんどん削れたりとか、傷がついたりとかしていてもいいなっていう感覚です。

次回の『お訪ねアトリエ』は、2025年10月17日(金)更新予定です。お楽しみに!!

プロフィール
高野洸(たかのあきら)
2009年、NHK教育の人気番組「天才てれびくんMAX」の全国オーディションで選ばれた5人でDream5を結成。妖怪ウォッチのエンディング「ようかい体操第一」が話題となり、2014年にはレコード大賞・紅白歌合戦に出演。2016年のグループ活動終了後は、ミュージカル「ROCK MUSICAL BLEACH」主演や「刀剣乱舞」(膝丸役)、「ヒプノシスマイク」(山田一郎役)、舞台「キングダム」(信役)、舞台「WAR BRIDE―アメリカと日本の架け橋 桂子・ハーン―」などに出演し、俳優として活躍。音楽活動では2019年に「LOVE STORY」でソロデビュー。2024年、2025年には、<高野洸 5th Anniversary Live Tour 「mile」~2nd mile~>を開催し、LINE CUBE SHIBUYAにてファイナルを迎えるなど音楽面でも精力的に活動している。
X(旧Twitter):@AKIRAT_official
Instagram:@akira_takano_official
プロフィール
阿南さざれ(あなんさざれ)
1989年、福岡県生まれ。 武蔵野美術⼤学造形学部⼯芸⼯業デザイン学科卒業。諸行無常とは、この世の万物は常に変化しており、一瞬とてその姿や本質を一定に保つことはできないという意味の仏教用語である。2019年から始まったコロナ禍を経て、私たちの生活や価値観はさらに大きく変化した。そのような世界規模の出来事でも、または日常の小さな積み重なりにも、あらゆる物事は影響を受けて変わっていくのである。作品においては流動変化するさまざまなものを描き、その尊さや儚さを表現する。
Instagram:@sazale_anan