家族や身近な人が心身に不調をきたしているとしたら、どうしたらいいでしょうか。基本的には早めの受診をおすすめしますが、周囲の協力も不可欠です。精神科医の藤野智哉医師が、コロナうつを見守る際に心掛けてほしいメソッドを紹介します。

※本記事は、藤野智哉:​著『コロナうつはぷかぷか思考でゆるゆる鎮める』(ワニブックス:刊)より一部を抜粋編集したものです。

暗いニュースによって飲酒量が増加する

近年はうつ病などに対する理解が進んだとはいえ、ネガティブなイメージを持っている人は少なくありません。「甘えている」「なまけている」などの誤解は、その最たる例でしょう。

これらの偏見が回復の障壁となっているとしたら、私たちはそれらを根本的に改めタイミングに来ているのかもしれません。

責任感が強く、きちんとした性格の人ほど、心にストレスをためやすいことがわかっています。真面目は人ほど、自分の不調を認めたがらないものですが、大事なのは病気に対するきちんとした理解を持つことです。

同じように大切なのが周囲の理解。放置するとさらに悪化する場合も多いため、すぐに受診をすすめてください。

厚生労働省の発表では、障害有病率が5~7パーセントのうつ病は「心の風邪」と言われることもありますが、風邪とは比較にならないほどつらいものです。早期発見も肝心です。また、女性は男性の倍なりやすいといわれています。

支えとなる家族やパートナーは、一緒に落ち込まないことも大事です。コロナうつを見守る際に心掛けてほしいメソッドを紹介します。

▲暗いニュースによって飲酒量が増加する イメージ:PIXTA

災害などのあとは、被災者のアルコール使用量が増えることが統計から示されています。

日本では大切な人をなくしたり、つらいときに「お酒でまぎらわす」ことがあります。「献杯をする」という文化も当たり前のように根付いていますよね。阪神・淡路大震災、東日本大震災や熊本地震のあとも、アルコール使用量の増加傾向が見られました。

2001年のアメリカ同時多発テロの際も、アルコール・たばこ・マリファナの使用増加が見られました。

人は強いストレスを受けると、何かに依存したくなるものです。特にアルコールに関しては、メディア報道に接した頻度と強い相関関係があると推定されています。

今回のコロナ騒動は、自粛により自宅生活が長く続き、テレビをはじめとするメディアが報じる暗いニュースに触れる機会が非常に多かったことで、飲酒量が増える可能性は大いにあります。

これは通常生活を送っている人にも、十分起こりうる身近なことです。